2022 Fiscal Year Research-status Report
エスニックアイデンティティに基づいた地域再生に関する研究
Project/Area Number |
21K04444
|
Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
鍛 佳代子 東京工芸大学, 工学部, 講師 (00289117)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | コミュニティ / エスニック / GIS / 商店街 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度、今年度の実施した研究内容は以下の理由でまだ発表する段階ではないため、具体的な研究実績となる発表は現在までにできておりません。 1)研究実施計画において初年度の2021年度は「1.GISを活用し統計的な手法を用いて居住環境面から見る地域分析を行うこと」-平成16年度~19年度の調査結果を基に、その際に調査した地域で今回の調査対象地域について、各国の公開されている統計データをまず収集すること」なっている。しかし、収集した統計データをもとにした地域分析は他の現地調査や政策調査の結果と連携して分析することで、課題「エスニックアイディンティティに基づいた地域再生」の意義ある結果が得られるため、今年度も継続して統計データや政策等の整理をおこなっている。 2)コロナ禍中で予備調査した結果、この渦中での現地調査する難しさがわかり、今年度は当初考えていた関東・関西圏でのエスニック商店街の調査を取りやめて学生の居住地域に近い首都圏の地域(川口市)で、外国人居住者が多く、外国人居住履歴が団地として長い芝園団地(UR都市機構)とその周辺に在る居住者を対象としているエスニック商店街(西川口駅周辺の飲食店街)への調査を実施し卒業論文としてまとめた。 その結果、コロナ禍による対応が変化した今後において、居住地としての団地を対象にするよりも、当初に予定していたエスニック商店街の調査を続行する方がコミュニティの形成と都市再生の研究内容に有効であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の実施状況報告書の中で、コロナ禍に於ける現地調査方法の見直しをして今後の研究方針を修正した。それを踏まえて、今年度は「GISを活用して統計的な手法を用いて居住環境面からみた地域分析を行うこと」と「地域再生に対する具体的ノウハウとその実践方法を再整理分析し、日本において必要と思われる都市戦略の方法を更新すること」に関する項目は今年度も引き続き行った。 22年度も現地調査が難しい状況には代わりはなく、22年度に調査予定であった、本年度は行わないこととしたため、2004年から2007年度で行った関東圏(群馬県大泉町、静岡県浜松市)の実地調査に対する現状との比較分析はできなかった。 21年度の予備調査から着目が必要と思われる、各地域の外国人居住の仕方と日常品の調達方法などの違いによって居住する場所の特性の違いを掘り下げて調査を行った。この調査地として、2010年前後から中国人居住者の多い、川口市に在る芝園団地と中国人居住者向けのチャイナタウンの一つである西川口駅周辺の飲食店の調査を中心行った。その結果、今年度始めた団地を対象にした調査からは文化の違いによる問題は、入所はじめの時期に多く起こり、居住者が継続してくると、文化的な違いよりも団地として問題点に焦点が映ることがわかった。一方で、エスニック商店街の経年変化は場所の選択や商店街の広がり方の傾向の地域特性を整理することが本研究をまとめるにあたって有効であると判断ができた。 その結果、居住地としての団地を対象にするよりも申請に予定していたエスニック商店街の調査を続行する方が今後の研究に有用なことがわかったが、実地調査が今年度から実行できなかったため、当初計画より遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地調査を再見直しの必要性を進捗状況の中で説明した。 コロナの状況を見ながら、昨年度中止をした、国内では、関東圏への調査と今夏に欧州地域ではなく、オーストラリアへの調査を今年度行う予定である。 23年度の関東圏の調査においては、昨年度の西川口駅周辺の飲食店の変遷調査を踏まえて、以前行った、群馬県大泉町と静岡県浜松市を中心に商店街の変遷を調査するとともに、空間利用調査や利用者アンケート調査を行い、各地域の外国人居住の仕方と日常品の調達方法などの住空間の特性の比較結果等をまとめる予定である。海外調査については、調査人員を絞って、前回の調査で、多様な民族が混じり合いながら居住していたメルボルンを対象にして、エスニック商店街の変化と空間利用を中心に調査を進める予定である。 24年度に欧州地域の調査を予定しているが感染症の状況や為替等の経済的な状況も踏まえて、調査地域については、複数の国での調査を取りやめ、ロンドン(英国)を中心に縮小して効果的な成果を得られるように修正を考えている。 昨年に引き続き、外国人居住に関するサービス等の制度の変遷とローカルコミュニティ形成のための施設計画を中心に地域再生の戦略に関する文献調査を行い、自治体間の比較を通じて1)どのように変化したのか、2)変化した要因は何か、3)問題が発生した場合はその発生条件、4)解決案などの観点から整理分析をし、データベースの更新を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
22年度のコロナ制作や夏・冬のコロナ感染状況を踏まえて、22年度に調査予定であった関東圏・関西圏の国内調査を別の年度で実施することにしたため、そのために予算計上をていた交通費・アルバイト代を22年度に使用しなかった。 これらの調査を23年度に実施することになり、このための交通費や調査結果の整理等のためのアルバイト代を23年度に使用する予定である。
|
Remarks |
梶田 小雪,佐藤 雄介、”西川口駅周辺のチャイナタウン研究‐特定業種テナントの変遷による駅前商業空間の変化について‐”、東京工芸大学卒業論文(2023.03) 川元 雅,高橋佳亮、”学生が携わる団地ボランティアの活動と団地再生に関する研究‐芝園団地・広瀬団地・緑ヶ丘団地を例として‐”、東京工芸大学卒業論文(2023.03)
|
Research Products
(1 results)