2023 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of learning effect on architectural space characteristic by simultaneous experience of virtual space with a large number of people
Project/Area Number |
21K04446
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
下川 雄一 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (90308586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建築設計教育 / VR / コミュニケーション / 仮想空間体験 / メタバース / 会話分析 / 形式知 / 感覚知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たな建築設計教育に関する研究の一環として、没入型VRとソーシャルVR(S-VR)を併用した多人数での没入型仮想空間体験(S-VR没入体験)が建築空間特性の理解に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。研究方法として、2021年度~2023年度に研究代表者が大学院の授業として実施したVRコミュニケーションに関する演習(履修者は毎年度10名前後)を対象に、録画による会話分析を行い、その影響の特性を検証した。 演習では各履修者が任意に建築作品を選び、前半では作品調査に基づくスライド発表と意見交換を実施し、後半では同一作品のVRモデルを作成してもらい、履修者全員によるS-VR没入体験による意見交換を実施した。研究としては、この会話分析を通してスライド発表時とS-VR発表時の発言内容の全体的な違いを分析した。 2021年度は会話構造ダイアグラムによる可視化とGrounded Theory Approachを用いた会話全体のカテゴリー関連図化という2つの方法で会話分析を実施したが、研究目的との対応性に不足が感じられたため、2022年度以降はプロトコル分析に変更し、分類カテゴリーを工夫することで目的との対応性と精度の向上を図った。分類カテゴリーによるプロトコル分析の結果は有向ネットワークグラフにより可視化し、カテゴリー毎の会話数の増減やカテゴリー間の関係性を分析した。 2022,2023年度の各演習の会話分析を行った結果、いずれの年もスライド発表では「知識的質問」や「知識的意見」など建築作品に関する知識や関連情報の形式的な授受に関する意見交換が多かったのに対し、VR発表では相対的にそれらが減り、且つ「感覚的質問」や「感覚的感想」などの感覚的な意見交換が相対的に増えた。この結果から、VRの没入体験は建築空間特性の体感的な理解を伴った意見交換が促進される可能性が確認された。
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