2021 Fiscal Year Research-status Report
Architectural dating study of medieval houses
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21K04451
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中尾 七重 山形大学, 理学部, 研究員 (90409368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (30634414)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
青柳 由佳 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (60713724) [Withdrawn]
門叶 冬樹 山形大学, 理学部, 教授 (80323161)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重要文化財高林家住宅 / 放射性炭素年代調査 / 玄関室付九間型間取り / 御三卿清水徳川家 / 重要文化財増田家住宅 / 御三家紀州徳川家 / 重要文化財中家住宅 / 佐倉・設楽家住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
中世民家の年代研究として、2021年度は、当初建築が天正期に遡るとされてきた重要文化財髙林家住宅を対象に、年代調査と変遷考察を行った。修理工事報告書(重要文化財髙林家住宅主屋・表門修理工事報告書、1979.3)に記載された当初部材および1次改造時部材を放射性炭素年代測定し、部材年代を確定した。その結果、重要文化財髙林家住宅の当初部材は17世紀中頃、1次改造年代は18世紀中期と判明した。以上より、髙林家住宅は17世紀中期に当初部分が建築され、18世紀中期に大改造が行われ、この時に行われた玄関室付九間型への改造が現在の外観や間取りのもととなったことが明らかになった。18世紀中期の大改造(1次改造)は、髙林家が御三卿清水徳川家の大庄屋となった時期である。御三家紀州藩の大庄屋である重要文化財増田家住宅(和歌山県岩出市)も玄関室付九間型間取りであり、御三家や御三卿といった徳川家親藩庄屋の格式だったと考えられる。髙林家住宅1次改造は御三卿親藩大庄屋の格式を整えるための大改造であったと推論した。以上の研究成果は2022年度日本建築学会近畿支部研究発表会(2022.6)で発表予定(「重要文化財髙林家住宅の年代調査、登録済み)である。また、重要文化財中家住宅(大阪府泉南郡熊取町)の現地調査を行い、これまで中世民家あるいは中世民家の形状を継承していると考えられてきた中家住宅が、徳川幕府役屋の形式である九間型民家であることを見出した。この研究成果は2022年度日本建築学会大会(2022.9)で発表予定(「重要文化財中家住宅(大阪府熊取町)の平面形式について」、登録済み)である。関連研究として関東地方の玄関室付九間型間取りについて、2021年度日本建築学会(2022.3)で発表を行った(「玄関室付九間型間取りについて-佐倉・設楽家住宅の検討」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中世民家、あるいは中世民家の形状を継承した近世初頭民家とされてきた重要文化財髙林家住宅および重要文化財中家住宅の調査を実施し、いずれも徳川幕藩体制下における大庄屋建築であり、中世民家ではないことを明らかにした。今後、中世民家とされる古民家の調査を実施し、建築年代を特定し、近世民家と中世民家の分別を行い、中世民家の特質を明らかにしてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
重要文化財箱木家住宅(兵庫県神戸市)、重要文化財古井家住宅(兵庫県姫路市)、重要文化財堀家住宅(奈良県五條市)、重要文化財高麗家住宅(埼玉県日高市)の調査を行い、建築年代の特定と改造変遷過程から、中世民家の特質を追求する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査回数が予定を下回ったため。2022年度に2021年度予定分と2022年度予定分の調査を実施する。
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Research Products
(11 results)