2022 Fiscal Year Research-status Report
現象的空間の設計手法に関する基礎理論構築:イサム・ノグチ制作論の応用研究
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21K04461
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
熊澤 栄二 石川工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (30321425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 友里子 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50814860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子ども / 遊具 / アークショップ / 現象的空間 / imaginary landscape |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、主要設備機器である三次元スキャナーLaica BKL360の試運転とデータ処理の方法の模索を行った。三次元スキャナーの試運転を行うために、研究協力を得られた民家を対象として行った。測定時におけるキャリブレーションの調整、最適解像度の決定、数GBを超える点群データのベクトルデータ化の手順のマニュアル化を行っている。 本年度も、世界的なコロナ禍ということもあり海外調査等の資料収集活動の実施が厳しい状況にあった。そこで、令和5年以降に実施予定である制作手法研究の試行的活動を行った。イサムノグチの彫刻は、その中を鑑賞者が主体的に動くことにより現れるImaginary Landscapeであった。この体験流としての空間、すなわち現象的空間の汎用化の試みとして制作手法論の構築を構想している(当初予定では令和5年以降に開始)。 イサムノグチのplaygroundは、子どもの主体的な遊びを誘発し、遊びそのもの動態を彫刻として表明されている。そこで実際に小学生を対象として遊びワークショップを実施し、子どもの遊びのシークエンス単位を抽出し、遊びの意図に即してシークエンス単位を再構成する手法を検討した。遊びの中で現れる変化を繰り返し再現するためにも、遊具をヴァーチャル空間(VR)においてモデル化し、リアルタイム映像で再現する手法の検討を行った。 このVR化までの一連の作業を検証することで、計画調書に記した「制作手法論」の構築に向けた基礎的な知見を得ることができた。 一方、共同研究者の研究担当である「制作思想」の解明については、イサムノグチの言説の分析を通じて、イスラエルに建設されたエルサレム国立博物館の彫刻庭園に関する景観構造を明らかにした「イサム・ノグチのgardenにおける景観論的研究―エルサレム国立博物館の彫刻庭園―」を令和5年3月には脱稿をし、査読論文として提出予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に導入を図った三次元スキャナーのデータ収集と最適ベクトルデータ化の手順について昨年度は試行錯誤を行っているが、調査研究レベルで最適化が成功しておらず、実測調査に踏み切れていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には試運転として、近郊民家を対象とした、三次元スキャンを行い、現在そのデータの利用ノウハウを構築中である。このノウハウの構築が完成した段階で、順次調査地での実測調査に入る予定である。 「制作思想研究」については、「5.研究実績の概要」にも記したように、エルサレム国立博物館の彫刻庭園(Billy Rose Sculpture Garden)に関するイサムノグチの言説分析を終え論文としてまとめている。令和5年度に日本建築学会計画系論文集に投稿のため、最終調整中である。
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Causes of Carryover |
研究計画を立案した令和3年度には、国内および海外調査旅費を計上していたが、コロナ禍で行動制限があったこと、また海外についても燃油代の高騰により実施を見送った。令和5年度においては、未実施であった海外調査を実施するなど順次計画を推進する予定である。
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