2021 Fiscal Year Research-status Report
近世・近代における神社本殿形式の研究―神明造を中心に
Project/Area Number |
21K04467
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 悠希 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80790815)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神社 / 伊勢神宮 / 神明造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世・近代の神明造社殿を主な題材として、神社本殿の形式分類が近世・近代の神社建築史上においてどのような意味を持ったか、神社本殿の形式・造形が決められる背景にどのような論理が存在したか、について解明しようとするものである。 初年度にあたる2021年度には以下の作業を行った。 1.近世の大工技術書および神道関連の文献を中心に、神明造など「○○造」という分類の用例を収集した。その結果、初例がいつまでさかのぼるか、また広く使われていたか否かなど、ある程度まで整理することができた。この作業は次年度以降も継続して、より精度を高めていく予定である。 2.近世・近代につくられた神明造社殿について、造営時期や経緯、形態的特徴等の情報収集を行った。特に、近世に伊勢神宮との間で争論が起こった事例に注目して資料の収集や考察をすすめており、次年度以降は現地調査も実施していく予定である。 3.これまでの成果を、研究報告「神明勧請と神明造―伊勢神宮の模倣をめぐって」および論文「伊勢神宮の社殿・境内の模倣とその論理―文化十二年京都日向社一件を中心に」として発表した。前者では室町時代以来の神明勧請において伊勢神宮の社殿の模倣がどのように行われたか、そのなかで神明造という分類概念の成立がどのような意味を持ったかについて考察したものであり、後者は社殿等の模倣を巡って近世に伊勢神宮との間で争論が起こった事例について、争論の経緯をたどりつつ双方の主張を整理したものである。いずれについても予察を含むものであり、次年度以降も上記1・2の作業の継続によって、さらに考察を深められるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの流行のために現地調査は実施できなかったが、資料収集・考察は順調にすすめられている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り調査・研究を継続する。
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Research Products
(2 results)