2021 Fiscal Year Research-status Report
建築学生コンラート・ピュシェルをとおしてみるマイヤー主導のバウハウス建築教育
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21K04473
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
冨田 英夫 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (80353316)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バウハウス / 建築教育 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は主として、バウハウスの建築教育の全体的な分析を進めた。 具体的に、1.ヴァイマール・バウハウスにおける建築教育、2.デッサウ・バウハウスにおけるマイアー主導の建築教育、3.デッサウ・バウハウスにおけるミース主導の建築教育について、それぞれ概要を把握し、その成果をデザイン史学研究会(国内学会)の学会誌『デザイン史学』にて論文発表を行った。 本年度の分析によって、バウハウス建築教育について各時代区分ごとの特徴を把握する事ができた。この作業をとおして、これまで注目してきたバウハウスの正課(正規カリキュラム)としての建築教育だけでなく、正課外(学生の自発的活動を含む活動)の活動についても目を向ける必要がある事が分かり、ヴァイマール・バウハウスで始まりデッサウ・バウハウスでも継続された「建築にかんする学生の自発的な活動」についての位置づけと評価という新たな課題を設定した。 一方で、2021年度に当初予定していた「ピュシュシェルが受講したデザイン教育においても科学的・分析的な傾向があるのか」の課題については分析を進める事ができなかった。研究実施者は2018年度に、ピュシェルが授業を受けたクレーとカンディンスキーのデザイン教育における科学的・分析的な特徴が明らかにしているが、ピュシェルが授業を受講した他のバウハウス教師においても同様の傾向があるのかを確認する必要がある。そのため、後に「今後の研究の推進方策」で述べるとおり、これらの分析を2022年度に行う事とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は「研究実績の概要」で報告したように、バウハウスの建築教育の全体的な分析を進めたため、当初予定していたピュシェルが受けたデザイン教育にかんする分析を進める事ができなかった。この当初予定していた分析については、2022年度の課題として持ち越し、継続して研究する。 このような状況から、「(3)やや遅れている」と自己点検による評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に行う予定だったピュシェルが受けたデザイン教育に加えて、ピュシェルが受けた建築教育にかんする分析を進める。具体的に、1.ピュシェルが授業を受けた教師が執筆したデザイン教育・建築教育にかんする史料の分析、2. ピュシェルが授業で制作したデザイン・建築にかんする史料の分析、3.国内学会での研究経過の発表を行う。研究実施者は、既にマイアーの科学的建築教育の核とみなされている「日照図」に関して、カールスルーエ理工科学校設立に尽力した建築家ヴァインブレンナーによる『建築教本』(1810-19)における正確な影の描画法に酷似した方法で描かれた図がマイアー時代のバウハウスの機関誌に掲載されている事を明らかにしているため、本年度の分析では日照図以外に確認できる設計対象の科学的分析についても同様にドイツにおける理工系の建築教育の系譜をたどり、バウハウスにおける建築教育の先進性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は次の2点である。(1)体調不良のため年間全仕事時間を減らした事、(2)コロナ禍で授業関係業務が増加し、年間全仕事時間における当該研究のための時間の割合(エフォート)が減少した事。 次年度使用分の使用計画は、年度前半における英文校正費と論文での画像使用料に充てる予定である。
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