2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on Understanding of Flow Field in a Fluid Thrust Vectoring Nozzle and Optimization of Thrust Vectoring Performance for Aircraft Attitude Control
Project/Area Number |
21K04475
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
畠中 和明 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30749320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 光智 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (50333860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 航空機姿勢制御 / 流体的推力方向制御(FTV) / ノズル流れ / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,流体力学的推力偏向技術(Fluidic Thrust Vectoring: FTV)をモデル航空機に組み込み,有効な姿勢制御機構として従来の姿勢制御手法と同等以上に機能することを示すことを目的としている。令和5年度の研究実績の概要を以下に示す。 1.令和4年度までの研究実績 FTV機構の性能を最適化することを目的として,実験と数値解析両面から研究を進めているが,FTVノズル内の流れ場を数値計算によりシミュレーションして得られる結果(主流の偏向性能)が,実験と比べて低くなることが課題となっていた。令和4年度はこの原因の究明が進み,数値解析の結果が実験結果と良い整合を示しつつある。同年度,並行して応答曲面法や遺伝的アルゴリズムを用いた単目的最適化を数値解析的に実施し,設計要素ごとのFTV性能への影響度を明らかにした。 2.令和5年度の研究実績 これまでの研究で,FTVノズルには,主流の偏向性能が高くなると推力が低下するというトレードオフが発生することが分かっていたため,令和5年度には主流偏向性能と推力を目的変数とする多目的最適化を数値解析的に実施した。また,これまで数値解析結果と実験結果の間の不整合を調査する研究と数値解析による主流偏向性能最適化の研究は並行して進められてきたため,数値解析と実験が整合する条件のシミュレーションに改めて最適化を適用した。その結果,得られた最適形状のノズルは,過去に得た実験結果と矛盾しないことが示された。 数値解析と実験の間の不整合についても,FTVノズルの絞り比が不整合の要因の一つになっていることが分かり,令和5年度は現象を理解するための実験的研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析によるFTV機構の性能最適化については,これまで主流偏向性能に着目した単目的最適化を実施してきたが,推力も同時に最大化するために設計空間を探索する多目的最適化の手順を構築し,確立することができた。 これまで並行して進められてきた「実験と数値解析間の不整合の原因を解明する研究」と「数値解析的にFTVノズルの性能を最適化する研究」を統合し,実験と数値解析結果の整合性が取れた状態での最適化を実施し,得られた最適ノズル性能は,過去の実験的研究結果と矛盾しないことが示された。 ここまでは当初の計画通りに進展していると評価する。
実験結果と数値解析結果の間にあった不整合について,その原因は究明が進んでいるが,まだ整合性の取れていない部分もあった。令和5年度はその原因となる設計変数がノズル縮流部の絞り比であることが明らかとなった。ノズルに縮流部を設けることは本研究におけるFTV機構を実現するために必要な条件であるが,これにより生じるノズル入口の流入条件の変化が数値解析では正しく再現されていなかった。この現象を正しく理解するために,FTVノズルを推進器に接続した状態で,ノズル入口の流速及び静圧を測定する実験を実施した。その結果,数値解析に適用していたノズル入口流入条件は,ノズル絞り比によって大きく異なっていることが明らかとなった。数値解析と実験の乖離を抑制するという目的においては当初計画より遅れているものの,より両者の整合性を高める可能性のある要因が明らかになり,新しい知見を得ながら着実に目標達成に向かっていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析と実験結果の整合性を改善する研究を継続して実施する。令和5年度に実験的に検討したノズル絞り比によるノズル入口流入条件の変化を,数値解析に反映する。これによる整合性の改善を確認したうえで,数値解析による最適化を実施する。
これまでの最適化手法は,初期応答曲面を取得するためにランダムな設計変数によるノズル形状を数百点生成していたため,計算に時間を要していた。令和6年度はこれを改良し,少ないサンプリング点数から初期応答曲面を生成する。ここから獲得関数によって新たなサンプリング点を決定し,応答曲面を更新する手法を取り,より効率的な最適化プロセスの構築を進める。
令和5年度は,最適化処理によって得られた解が過去の実験結果と矛盾しないことを示したが,この比較に用いた過去の実験の設計変数は,最適化結果の設計変数とは異なるものであった。令和6年度は,実験的にも可能な限り数値解析と同様の最適化プロセスを実行し,両者の整合性を確認することとする。
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Remarks |
室蘭工業大学大学院工学研究科 生産システム工学専攻 推進工学研究室Webページの研究紹介の一つとして,本研究内容をインターネットで公開している。
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