2021 Fiscal Year Research-status Report
Numerical Simulation of Oxidizer Flow inside a Hybrid Rocket Engine and Prediction of Flow Rate
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21K04484
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
渡邉 力夫 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20308026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 大将 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90571969)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハイブリットロケット / 亜酸化窒素流れ / 流量係数 / インジェクタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ハイブリットロケットエンジンの酸化剤として使用されている亜酸化窒素(N2O)の配管内流れの数値的な再現と,インジェクター部における流量特性の把握,並びに実験的手法による流量計測を目的としている.2021年度においては,高性能ワークステーションの導入により数値計算環境を向上させ,数値計算手法の検証や改良をすることができた.数値計算プログラムとしてはオープンソースであるOpenFOAMを使用し,混相流解析モデルとして広く用いられている混合モデルやVOF(Volume of Fluid)モデルにより流れ場を再現した.インジェクター部における流量係数を実験結果と比較検証した結果,数値解析により得られた結果と実験結果は概ね一致した.亜酸化窒素の押し圧が流量係数に与える影響を調べた結果,単相流では流れが閉塞しないような条件(インジェクター上部と下部の圧力差が低い)でも流れが閉塞することがわかった.これは,液体状態の亜酸化窒素が配管内やインジェクター内部で気化して気液二相流となり,特にインジェクタ内部ではキャビテーションが発生して流量が抑制されていることが原因であることがわかった.なお,今回使用した数値計算モデルでは等温モデルであったため,実際の亜酸化窒素流れに大きな影響を与える外部温度の影響を調べることができなかった.温度の影響に関しては,2022年度以降に考慮する予定である.亜酸化窒素流れの実験的な検証は室蘭工業大学において実施され,配管内や燃焼室における亜酸化窒素の流れの圧力や温度の計測が実施された.さらに,亜酸化窒素流れの流量を定量的に計測する装置の導入が進み,亜酸化窒素押し圧の影響を調査した.また,実際にハイブリットロケットエンジン燃焼室を装着した状態で燃焼試験を実施し,燃焼状態における圧力や温度の特性を明らかにすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では2021年度に高性能ワークステーションを導入して亜酸化窒素流れの数値解析手法に関して実験と比較しながら検討を実施することとなっていた.2021年度の進捗では,ハイブリットロケットエンジン全体配管を模した計算領域を設定して亜酸化窒素の配管内流れや燃焼室内における噴流の様子を再現することができた.また,インジェクタ部における亜酸化窒素流れを数値的に再現して流量を見積もることに成功した.流量係数に関しては実験で得られた値と良く一致した.以上より,2021年度においては概ね所望の結果を得ることができたといえる.実験に関しても亜酸化窒素流量計測装置の導入や亜酸化窒素押し圧の影響を定量的に計測することができ,流量制御へ向けての準備も進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては亜酸化窒素のハイブリットロケットエンジン酸化剤供給系内流れの数値解析手法について検討し,インジェクタ部における流量係数については実験結果とほぼ同様な結果が得られた.しかしながら,現行の数値解析モデルにおいては流れ場を等温として仮定しているため,相変化に伴う温度変化を再現することができない.また,相変化モデルにおいては飽和圧力や飽和温度を参照するが,現在では固定値を使用しており,実際の流れ場における温度変化に対応できていない.2022年度は温度場を解析できるようにエネルギー式を考慮したソルバーの変更や,圧縮性を考慮したソルバーの導入を検討する.これにより,外部温度ならびに相変化の過程における温度変化を再現することができる.実験については引き続き流れ場の計測と流量測定を実施し,押し圧は燃焼室圧力(背圧)の影響を明らかにする.また,亜酸化窒素流量の制御システムを確立するため,制御手法の検討を行う.
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Causes of Carryover |
当初対面開催予定であった国際会議(2022年3月開催)が,直前になって急遽オンライン開催となったため,旅費に充てる予定の予算が不要になった.期末であったため,他の使途への振替は困難であった.2022年度は学会等開催が対面となる予定であるため,学会発表を積極的に実施する.また,研究成果をまとめて論文投稿作業を進め,論文投稿費用に充当する.
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Research Products
(6 results)