2022 Fiscal Year Research-status Report
極超音速自由飛行試験による火星大気ダストの大気突入カプセル空力加熱への影響評価
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21K04493
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
野村 哲史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (80709361)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 火星ダスト / 軽ガス銃 |
Outline of Annual Research Achievements |
火星大気中のダストの存在が、大気突入カプセルの空力加熱現象に与える影響を調査すべく、地上試験において自由飛翔体を浮遊ダスト雰囲気中に極超音速で射出し、その周りの流れ場を可視化・分光計測する手法を確立することを目標に活動を実施した.模型射出については、これまで軽ガス銃を用いて秒速4kmまでの射出に成功してきた。しかし別課題において取組中である、ダストを付加しない雰囲気中での自由飛翔体周りの分光計測において、秒速4kmの試験条件では既存の計測システムで得られる信号強度が低いことが判明した。ダストの空力加熱現象への影響を分光計測により評価するためには、より強い輻射信号が必要であるため、過去に検討されたミッションを踏まえたうえで、より高速の速度域での運用を可能とすべく運用エンベロープの拡大を目指した試験が実施され、軽ガス銃運用条件を調整することで、最大速度4.7kmまで達成された。また分光計測システムとしては、光学系をアップデートすることで、アクセス可能な波長領域として紫外領域を加え、より幅広いデータを取得する準備が整えられた。加えて、極超音速自由飛翔体に対する計測開始のためのトリガーシステムも更新され、試験条件のバラつきに対して、より確実に模型周りのデータを取得できるように性能が向上された。2023年度には、拡大された運用エンベロープに基づき、試験を加速させ、様々な粒子濃度条件に対して、流れ場可視化、分光計測を実施し、数値解析との比較を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、ダスト雰囲気中への射出および衝撃波の可視化まで完了する予定であったが、主担当者の所属機関内の部署異動により十分な試験時間の確保が困難であった。また、当初想定していた速度条件での試験では解析に足る十分な信号強度が得られないことが別課題の取り組みの中で明らかになったため、より高い信号強度を期待できる高速条件での試験を可能とすべく、運用エンベロープの拡大に先行してエフォートを割いた。そのため、ダスト雰囲気中への打ち込み試験までは実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
6月以降、研究業務に戻る予定となっており、戻り次第、本研究についても再開・加速する。昨年度設計検討を進めていた試験装置の導入から着手し、計測を実施する。計測データと数値解析結果との比較によりダストの空力加熱に与える影響の有無を判断し、必要に応じて、既存の輻射解析モデルの更新を実施する。
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Causes of Carryover |
主担当者の所属研究機関内での異動により、試験実施のための時間を十分に確保できず当初想定していた資金を執行できなかったため。2023年度6月には、元の部署に異動できるため、研究を再開加速し、予定されていた資金によって、供試体製作などを実施し、残りの試験を実施する。
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