2021 Fiscal Year Research-status Report
次世代冷媒の流下液膜蒸発の熱伝達と流動特性に関する基礎研究
Project/Area Number |
21K04497
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
地下 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30708368)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流下液膜蒸発 / 蒸発熱伝達 / 流動様相 / 次世代冷媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
低熱負荷条件でも優れた蒸発器性能が期待でき,かつ満液式蒸発器に比べて冷媒使用量の大幅な削減が期待できる流下液膜式蒸発器において,冷媒の熱伝達および流動特性は流量,熱流束,流体物性等によって大きく変化する.本研究では,流下液膜の流動様相の可視化および伝熱実験により,環境負荷の小さい次世代冷媒の流下液膜蒸発の熱伝達および流動特性の解明を目指す. 本年度は,地球温暖化係数の小さいHFO系冷媒R1234ze(E)を試験流体に用いて,水平平滑管外を流下する液膜の流動様相の観察を行うとともに,蒸発熱伝達特性および局所熱伝達特性に及ぼす冷媒流量,熱流束,流動様相の影響について明らかにした.冷媒流量の増加にともない,流動様相は間欠滴状落下,連続滴状落下,擾乱柱状落下の順で遷移した.また,熱流束が高い場合には管表面から沸騰気泡の形成がみられたが,流動様式が遷移する冷媒流量に関しては熱流束の影響は小さかった.連続滴状落下域および擾乱柱状落下域では平均熱伝達率に及ぼす冷媒流量の影響は小さかったが,間欠滴状落下域では平均熱伝達率は冷媒流量の減少にともない大きく低下した.管周方向の局所熱伝達率は,対流熱伝達が支配的となる低熱流束条件では管周方向に沿った液膜厚さの増大にともない低下した.また,冷媒流量に対して熱流束が大きい条件では,管周方向に沿ったドライパッチ面積の増大にともない,局所熱伝達率は管周方向に沿って低下した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初の計画では,(1) 水平管外を流下する液膜流動,(2) 垂直平板を流下する液膜流動の大きく2つの研究項目を設定していた.本年度は,水平管外を流下する液膜の流動様相の観察を行うとともに,蒸発熱伝達特性および局所熱伝達特性に及ぼす冷媒流量,熱流束,流動様相の影響について明らかにした.また,垂直平板を流下する液膜流動に関しても試験部を製作し,流動状態の観察を進めており,おおむね順調に研究が進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
水平管外を流下する液膜流動に関しては,試験流体を変更し,熱伝達および流動特性に及ぼす流体物性の影響について検討する.また,垂直平板を流下する液膜流動に関しては,試験部の流路片側から加熱することで,蒸発を伴う液膜流量および液膜厚さの変化,沸騰気泡の成長,崩壊が熱伝達および流動特性に及ぼす影響について検討する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた試験部の製作費用が抑えられたため.次年度に計画している試験部の製作費および試験に必要な消耗品費として使用する予定である.
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