2023 Fiscal Year Annual Research Report
次世代冷媒の流下液膜蒸発の熱伝達と流動特性に関する基礎研究
Project/Area Number |
21K04497
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
地下 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30708368)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流下液膜蒸発 / 蒸発熱伝達 / 流動様相 / 次世代冷媒 / 混合冷媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化係数の小さい次世代冷媒の流下液膜の熱伝達と流動特性の解明を目的として,本研究では,垂直平面を流下するHFO系冷媒R1234ze(E)の熱伝達率の測定に加え,沸騰気泡,液膜破断および乾き部の形成を伴う液膜の流動状態の観察を行った.液膜の流量が大きい場合,低熱流束条件では液膜の波立ちと気泡の破裂に起因する多数の円形の波紋が観察された.高熱流束条件では激しい沸騰を伴う厚い液膜流れと薄い液膜流れが観察され,薄液膜部では伝熱面に乾き部が生じるものの,上流からの流れによりリウェットされる様子も観察された.熱流束の増加に伴い核沸騰熱伝達が促進され熱伝達率は増大した.伝熱面に安定して液膜が形成される高流量かつ低熱流束条件では,熱伝達率は膜レイノルズ数に対しておおよそ一定値を示した.一方,膜レイノルズ数の低下および熱流束の増加に伴う乾き部の形成・拡大により,熱流束が高いほどより高膜レイノルズ数から熱伝達率は減少を開始した.伝熱面に対する液膜で覆われた部分の面積割合(濡れ面積率)および熱伝達率が減少を開始する膜レイノルズ数はおおよそ一致することを,流動状態の観察と伝熱実験から確認した.さらに,伝熱面の表面性状,試験流体の種類を変化させた実験を行い,流下液膜の熱伝達に関するデータベースを構築するとともに,液膜の流動状態,伝熱面の濡れ性に及ぼす影響について検討を行った. また,R1234ze(E)およびR1234ze(E)を主とする2成分混合冷媒を対象に,水平管外を流下する液膜の蒸発流動様相の観察を行うとともに,熱伝達率の測定を行い,熱伝達と流動特性に及ぼす液膜流量,熱流束,混合組成比の影響について明らかにした.熱流束の増加に伴い気泡の発泡点密度は増加し,混合冷媒の熱伝達率は純冷媒と同様に増大したが,その値は純冷媒よりも低く,低熱流束条件に比べ高熱流束条件で純冷媒との差異が増大することを確認した.
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