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2021 Fiscal Year Research-status Report

Impacts of disturbance of marine sediment on the environments induced by tsunami

Research Project

Project/Area Number 21K04500
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

林 美鶴  神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 准教授 (10294258)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 井上 徹教  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (70311850)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords津波 / 海底堆積物 / 溶出 / 栄養塩 / 大阪湾 / 再堆積 / アンモニア態窒素 / リン酸態リン
Outline of Annual Research Achievements

海底からの栄養塩溶出量は、津波により堆積物のが巻き上げられ、それが再堆積した時、津波前とは変化する可能性がある。大阪港の浚渫土(シルト)を用いて、コントロールと再堆積、2種類のコアを作成した。前者はコアに堆積物をそのまま入れて、現状を表現した。後者は、コアに入れた堆積物上に曝気した堆積物を被せて、津波後の再堆積を表現した。堆積物上を人工海水で満たして密封し、これを採水して、還元状態で堆積物から溶出したアンモニア態窒素(NH4-N)とリン酸態リン(PO4-P)の濃度を測定した。
直上水中栄養塩濃度の時間変化から推定したコントロールと再堆積、それぞれのNH4-NとPO4-Pの溶出速度を求めた。NH4-Nでは、再堆積の溶出速度はコントロールの溶出速度に比べ小さく、その差は前半6.0 mg/m2/dayから後半18.4 mg/m2/dayに増加した。PO4-Pでは、再堆積の溶出速度はコントロールの溶出速度に比べ小さい。コントロールの溶出速度は、前後半で変化はないが、再堆積は後半に増大した。これらの結果から、海底堆積物が津波により巻き上げられると酸素を含んだ状態で再堆積するため堆積物表層は好気的になり、嫌気的な状態で起こるNH4-NやPO4-Pの溶出が抑制されることが示唆された。
得られた再堆積後のNH4-N溶出速度を、現状とほぼ同じ状態の2013~2014年の各季節に得られたデータと比較した。津波により湾奥でのNH4-N溶出量は減少するが、寒候期ほどの低レベルではなく、その影響はあまり大きくないと推定できる。PO4-Pについては、富栄養化に対する総量規制の成果が現れ始めた1983年夏期と比較すると、現状は低い状態で、津波後はさらに著しく低くなると推測される。大阪湾奥では基礎生産を律速する栄養塩はリンであるため、PO4-P溶出量の低下は植物プランクトンの増殖を低下させる可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初計画していた海底堆積物の採泥と、これを用いた実験が、新型コロナウイルス感染症の影響で出張が禁止され、実施できなかった。このため、浚渫土を調達して、最小限の実験を実施した。

Strategy for Future Research Activity

2021年度に行った実験は、ある意味予備実験となった。実験系の改良や実験条件の見直しを行い、2022年度に当初予定規模の実験を実施して、有益なデータを取得する。特に今回の実験で、溶出速度が時間変化する事が示唆され、より長時間の実験を行う必要性が明らかになった。またその時間変動は窒素とリンで異なり、それぞれの変動要因、異なる理由を明らかにする必要がある。
平行して、三次元海洋物理モデルにより各季節の流動場のシミュレーションを行い、堆積物輸送経路と再堆積海域を予測する。10月以降、得られた流動場や現状の水環境データを数値生態系モデルに与えてシミュレーションを行い、実測データと比較することで再現性を確認し、モデルを改良する。数値生態系モデルが完成したら、津波による環境変化(巻き上げられた堆積物分布、これによる海中光減少、減少した溶出速度、など)を与えてシミュレーションを行い、一次生産に及ぼす津波影響の定量化を試みる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの影響で、出張が禁止されたため。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021

All Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 津波による堆積物擾乱を模した栄養塩溶出実験2021

    • Author(s)
      松本大一,井上徹教,林美鶴
    • Organizer
      第7回海洋環境研究集会
  • [Presentation] 津波マリンハザードに関する予測研究~津波渦と水環境~2021

    • Author(s)
      林美鶴
    • Organizer
      日本航海学会 第145回講演会
    • Invited
  • [Presentation] Analysis of Storm Surge in Kobe, Japan caused by Typhoon Jebi, T1821, by using the in-situ observation data2021

    • Author(s)
      Mitsuru Hayashi, Yoshiji Yano, Kazuhiro Nemoto, Tetsuo Yanagi, Anukul Buranaprathepra
    • Organizer
      ECSA58-EMECS13
  • [Presentation] 津波により海底堆積物が擾乱を受ける大阪湾での津波後の再堆積・海水輸送予測シミュレーション2021

    • Author(s)
      林美鶴,中田聡史,廣川綜一,藤澤秀仁
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2021年大会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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