2021 Fiscal Year Research-status Report
船体運動予測による離着岸操船時の衝突回避アシストシステムの研究開発
Project/Area Number |
21K04504
|
Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
岩切 敬晃 広島商船高等専門学校, その他部局等, 助教 (10880776)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 船舶工学 / 自動制御 / シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,航海士が離着桟操船を行う時に,操船ミスまたは機器の故障による岸壁衝突事故を回避・軽減するために,警報や操船支援情報を提供するシステムの研究開発を試みている.システム開発の為に計画した研究項目に対して以下の内容を実施した. ①船体運動予測モデルの研究開発については,計画された「A.操縦運動モデルの構築」に対し,練習船「広島丸」の完成図書より諸元を調査すると共に,本船における実測も行いながら,MMGモデルを元にして操縦運動モデルの構築を行った.また「B.機械学習による予測精度向上」に対しては,練習船「広島丸」の運航データ収集装置を用いて離着岸操船データを出港毎に収集した.また運航データ収集装置にて不具合が発見されたため,各種調整および換装を行い復旧した. ②岸壁衝突リスク判断システムの研究開発については,計画された「A.操船方法」に対してベテラン航海士の緊急操船パターンの調査の為,AISデータの収集と水先人への直接調査を行った.調査において緊急時に想定される操船パターンや想定外の船体運動に対する回復操船方法を確認した.また水先人のみならず練習船の船長や近隣造船所のドックマスターへの直接調査も実施した. ③開発したシステム評価については,「A.操船シミュレータ」に対してヘッドマウントディスプレイを用いたVR操船シミュレータの構築に着手した.構築にはUnityとBlenderを用い汎用可能なシステムを目指すと共に,3次元モデルの構築を行った.3次元モデルは実験想定海域の構築を完了した.また実験に使用する予定の対象船舶の3次元モデルの外観の構築も完了した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響もあり,校務(寮務)への負担が拡大しているためエフォートの比率が減少している.連携研究者との打合せについてはオンライン等で対応したが,水先人への直接調査には相手方の抵抗感もあり遅れが生じている. また予てからの半導体不足の影響を受け,予定していた計算機の入荷が遅れた.同時に実船運航データの収集装置の不具合修復にも時間を要した.
|
Strategy for Future Research Activity |
①船体運動予測モデルの研究開発について「A.操縦運動モデルの構築」は練習船広島丸の操縦運動モデルの構築を完了させる.基本モデルは完了しているがパラメータの詳細について実船運航データと比較して修正を行う.また「B.機械学習による予測精度向上」は引き続き離着岸操船データ収集を行い,構築する操縦運動モデルの計算結果との誤差を検討し学習データの構築に移行する.学習データから機械学習手法により船体運動予測モデルの外乱影響等による誤差を修正するアルゴリズムを構築する. ②岸壁衝突リスク判断システムの研究開発について計画された「A.操船方法」は水先人への直接調査およびAISデータの収集と解析は継続して行いデータの母数を増加させることで操船限界や安全マージンの推定を行い,計画された「B.衝突予測システム」の開発へ移行する。 ③開発したシステム評価について「A.操船シミュレータ」は既に実験想定海域の構築と実験対象船舶の外観の構築を完了していることから,引き続き操舵室の内観の構築を行い,VRシミュレータを完成させる.また「B.評価実験」への準備として実験・評価方法の策定等を行う. また昨年度は新型コロナ禍によって想定通りに進捗しなかった研究発表等も並行して進めていく.
|
Causes of Carryover |
本研究は3か年計画であり,昨年度は1年次であった.当初の計画からは若干の遅延はあるが,推進方策に基づいて引き続き継続してシステムの開発を行う. ①船体運動予測モデルの研究開発のため学習データの構築の完了を見越し,機械学習用の計算機の購入を行う予定である.購入後は機械学習手法による船体運動予測モデルの誤差修正アルゴリズムの構築を行う.②岸壁衝突リスク判断システムの研究開発のため連携研究者との打合せおよび水先人への直接調査を継続して行うため,旅費として使用する予定である.③開発したシステム評価を行うためのVR操船シミュレータ用ヘッドマウントディスプレイの購入の為に使用する予定である.
|