2023 Fiscal Year Research-status Report
海上交通が輻輳する沿岸海域での小型漁船と一般航行船舶との競合緩和に向けた研究
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21K04509
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
酒出 昌寿 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (90419937)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 海上交通安全 / 競合緩和 / 小型漁船 / 遊漁船 / 一般航行船舶 / 内航船舶 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の研究計画として、令和4年度から継続し、一般航行船舶の操船者が意識する小型漁船および遊漁船との安全、競合緩和、許容できる二船間の離隔距離などについて、関門海域を通航する船舶の船社、関連団体などを通し、航海当直実務者へのアンケートおよびヒアリング調査を実施することを計画した。また、それらの調査結果より、航海当直実務者が持つ安全意識、許容できる小型漁船および遊漁船との離隔距離などの分析を行うことを目標とした。 上記計画に基づき、令和4年度に引き続き、一般航行船舶の操船者に対する小型漁船および遊漁船との安全、競合緩和、許容できる二船間の離隔距離などの意識調査およびその分析について、関門海域の通航船舶の多くを占める内航船舶の船社にアンケート調査への協力を依頼した。さらに、山口県下関市内で開催されているECDIS講習の受講者の内、内航船舶の航海当直業務に従事している者にもアンケート調査への協力を依頼した。その結果、令和3年度からの本研究課題の取組みを通し、合計388名の内航船舶の航海当直実務者からのアンケートに対する回答を得ることができた。 これら388名からのアンケート調査結果の内、令和4年度までに回答を得られた225名の内航船舶の航海当直実務者らが意識する小型漁船および遊漁船との安全、競合緩和、許容できる小型漁船および遊漁船との離隔距離などについての詳細な分析を行った。 それら詳細な分析の後、令和3年度から令和4年度までの成果として、本研究課題の取組みおよび、225名のアンケート調査の分析結果、その結果に基づいた内航船舶と小型漁船および遊漁船との競合緩和、海難防止に関わる意識の客観的評価、考察を論文として取りまとめ、日本航海学会論文集第148巻へ投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、小型漁船および遊漁船の漁業者が意識する一般航行船舶との安全、競合緩和、許容できる二船間の離隔距離などの分析、取りまとめの一環として、関門海域および周辺海域で操業、活動する漁業者および遊漁船従事者ら94名に行った小型漁船および遊漁船と一般航行船舶との安全や競合緩和、許容できる二船間距離などのアンケート調査結果について、 アンケート調査を行っていない同海域の漁業者および遊漁船従事者ら21名に紹介、解説し、そのアンケート調査結果から明らかとなった競合の実態に対して概ね了解を得ることができた。 令和4年度は、一般航行船舶の操船者が意識する小型漁船および遊漁船との安全、競合緩和、許容できる二船間の離隔距離などについて、関門海域の通航船舶の多くを占める内航船舶の航海当直実務者らにアンケート調査への協力を依頼し、内航船舶の航海当直実務者225名からの回答を得た。これらアンケート調査結果より、内航船舶の航海当直実務者らが意識する小型漁船および遊漁船との安全、競合緩和、許容できる小型漁船および遊漁船との離隔距離などについての基礎的な分析を行い、その結果の概要を取りまとめることが出来た。 令和5年度は、令和4年度に引き続き、一般航行船舶の操船者が意識する小型漁船および遊漁船との安全、競合緩和、許容できる二船間の離隔距離などについて、関門海域の通航船舶の多くを占める内航船舶の航海当直実務者らにアンケート調査への協力を依頼した。その結果、令和3年度からの本研究課題の取組みを通し、合計388名の内航船舶の航海当直実務者からの回答を得ることができた。また、令和3年度から令和4年度までの研究成果を論文として取りまとめ、日本航海学会論文集第148巻へ投稿し、掲載された。 以上のことから、本研究課題への取り組みは、概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、当初、令和3年度~令和5年度の3年間の計画であったが、本研究の中核となる内航船舶の航海当直実務者らへのアンケート調査の依頼先が想定以上に拡大でき、多くの回答者が得られ、その分析により多く時間を要する状況となったことから、研究期間の1年延長を申請した。 令和6年度では、令和3年度~5年度までの本研究課題での研究成果の他に令和3年度以前の関連する研究成果を加え、関門海域での小型漁船および遊漁船(漁業者)と、一般航行船舶(内航船舶の航海当直実務者および水先人)との両者の安全と競合緩和に関する意識、両者がともに許容できる二船間の離隔距離について総合的に取りまとめ、両者の安全と競合緩和に向けた取り組みの推進に寄与する資料の作成を行う。 また、関門海域の利用者および関係者らへの広報、周知に利用出来るよう、これらの研究結果を分かり易く整理したリーフレット等を作成していく。
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Causes of Carryover |
令和4年度の国内での新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、出席を予定していた本研究課題に関連する学会の講演会等がWeb開催となり、旅費の支出が発生しなかったため、予算に対する残額が生じ、令和5年度においても引き続き相当額の残額となった。 また、本研究課題に関わるアンケート調査の協力依頼に関わる旅費についても、令和4年度および令和5年度ともに、電話やメール等での依頼により対応頂けた依頼先があり、予算に対する残額が生じた。 令和6年度においては、本研究課題に関連する学会の講演会等への出席、アンケート調査の協力先への調査結果の説明に関わる旅費、研究成果の論文投稿費や説明資料作成費等、次年度使用額を有効に支出していく計画である。
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