2022 Fiscal Year Research-status Report
横浜航路アプローチ操船における操船者の状況認識支援システムの開発
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21K04515
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
西崎 ちひろ 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70570993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Situation Awareness / 操船者の見張り支援 / 船舶運航データ / 機械学習 / AIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,操船シミュレータで計測した操船者の状況認識と,水先人の操船データを組み合わせることで,横浜航路へのアプローチ操船に限定した操船者の状況認識をモデル化し,機械学習による船舶交通流予測を組み込んだ操船者の状況認識支援システムの構築を目的としている.令和4年度の主な実施内容は,以下の2点である. (1)横浜航路アプローチ操船における操船者の状況認識計測:令和3年度に引き続き,コロナ禍による学外者の入構制限や人間を扱う実験に関する制限及び操船シミュレータ施設の入れ替えに伴い,外部の操船実務経験者を被験者とした操船シミュレータ実験を実施することが困難となった.そのため,水先人による横浜航路アプローチ操船の結果を鳥観図で提示し,大学に在籍している操船実務経験者へヒアリング調査を行う手法に変更した.ヒアリング調査から,横浜航路アプローチ操船時に水先人や操船実務経験者が共通して着目する船舶とその船舶の物理的な特徴(距離や見合い関係等の物理的な指標)を明らかにすることができた. (2)横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所を予測するシステムの構築:(1)で明らかとなった複数の物理的指標を学習パラメータとし,東京湾の6年分のAISデータを用いて学習モデルを作成した.浦賀水道北口から北上する横浜航路アプローチ船が,中ノ瀬西方海域を連なって南下する3隻の南航船を横切るケースにおいて,学修データとは異なる検証用のAISデータを用いて横切り場所を予測した結果,予測精度は79.74%となった.この結果は,南航船の針路速力のみから算出した単純予測精度67.70%よりも高い結果となった.ただし,令和3年度に構築した「レーダ画像を入力データとして船舶の動静を予測する機械学習モデル」と同様,予測精度の検証が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度及び令和4年度の2年間で,計画していた水先人の状況認識及び操船特徴の分析,また実務経験者へのヒアリング調査を通して,横浜航路アプローチ操船の特徴を抽出することができた.一方,コロナ禍による学外者入構制限や人間を扱う実験に関する制限及び操船シミュレータ施設の入れ替えに伴い,令和3年度に引き続き令和4年度も外部の操船実務経験者を被験者とした操船シミュレータ実験を実施することが困難となった.そこで,令和4年度は操船者の状況認識の計測実験部分をヒアリング調査へ変更し,横浜航路アプローチ操船に必要な情報の選定を行い,機械学習を用いて操船者へ提供する情報の算出システムについて構築することができた. 令和4年度は操船者の状況認識を調べるステップで手法の変更を行ったが,機械学習を用いた操船者の状況認識支援手法の構築を含め,全体的な研究の進捗はおおむね計画通りであると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所を予測するシステムを構築した.しかし,操船者の状況認識支援では,見張りの妨げにならないよう本システムの予測結果を操船者に伝える仕組みが必要である.令和5年度は,令和4年度に構築した横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所を予測するシステムの精度検証を行うと共に,操船者に予測結果を伝える仕組みについても検討する.そのため,令和5年度は操船シミュレータ実験を通して,操船者への情報提供方法の検討及び評価を実施する予定である. また令和5年度は,令和4年度に構築した横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所を予測するシステムついて,国際会議への投稿を予定している.
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Causes of Carryover |
令和3年度は半導体不足の影響で当初購入を予定していたグラフィックボードの購入を見送ったが,令和4年度は機械学習用の計算機を構築する部品を購入することができた.一方,操船者の状況認識を計測するための操船シミュレータ実験を実施できず,手法の変更を行ったため,被験者雇用費は令和5年度に繰り越し,令和4年度までに構築したシステムの評価等のための被験者実験費用として使用を予定している.また,令和3年度及び4年度は海外出張に伴う国際会議への参加が制限されていたが,令和5年度は海外出張を伴う研究成果の投稿及び発表を行う予定である.
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Research Products
(1 results)