2021 Fiscal Year Research-status Report
Ship towing calculation method considering dynamic tension acting on the towline consisted of multiple materials
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21K04520
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
黒田 貴子 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (00415811)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 船舶曳航 / 複数材質の曳航索 / カテナリー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの曳航の研究は,曳索は単一材質とし,準静的な形状を保つ状態で操縦運動の中で扱われ,曳航時に発生する動的索張力による最大値の把握は経験で行ってきた。動的索張力は曳航点となる船の運動が関与するため船体運動計算で扱う必要があり,さらに弛緩・緊張状態で影響は大きく異なりなり,ランプドマス法で曳索の3次元変位を扱うと時間領域計算に組み込む際に複雑化し,緊張状態で精度が出ないことが知られている。 そこで本研究は,複数の材質で構成する曳索の弛緩・緊張状態での動的索張力を考慮した短波長不規則波中時間領域での船舶曳航時の被曳船の船体運動計算法を提案する。 これまでに島田ら(1980)が示す弛緩と緊張状態での理論式をもとに,複数の異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計算プログラムを作成した。これは複数の異なる単位重量で構成する索が成すカテナリー形状の静的つり合いを求め,ここで得た張力を,動的索張力を求める時の初期値として与える方法である。計算法の検証のために,波浪中での曳航時の索張力と繰り出し角度,被曳船の軌跡及び船体運動計測の模型実験を実施した。被曳船はコンテナ船とし,曳索は2つの異なる単位重量のワイヤーを繋いで使用した。索張力と曳索の繰り出し角度は曳引台車と被曳船の船首部に歪みゲージの張力計とポテンショの角度計を介して曳索を取付けて計測した。船体運動は模型船にジャイロを搭載し,被曳船の軌跡はトータルステーションで計測した。2つの異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計測結果と計算結果を比較し,動的索張力の計算法の精度を検証する予定である。 参考文献:島田潔,小林正典,日根野元裕,係留ラインの張力に対する動的影響について,西部造船会会報,第60号,1980,pp.113-127
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は島田ら(1980)が示す弛緩と緊張状態での理論式をもとに,2つの異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計算プログラムを作成した。本計算で与える曳索形状の初期値は,単位重量が違う索でも索長とスパンが同じであれば張力は異なるがカテナリー形状は同じになるため,複数の異なる単位重量で構成する索が成すカテナリー形状の静的釣り合いを求めて与えることとした。計算法の検証のために,コンテナ船模型を用いて波浪中での曳航時の索張力と繰り出し角度,被曳船の船体運動計測の模型実験を,曳航に関する研究で共同研究を行っている水産技術研究所の角水槽で実施した。曳索は2つの異なる単位重量のワイヤーを繋いで使用した。2つの異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計測結果と計算結果を比較し,動的索張力の計算法の精度を検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
弛緩と緊張状態での理論式(島田ら)の理論式をもとにした複数の異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計算法での計算結果と模型実験を比較し,精度を検証して改良を行う。さらにこの計算法を導入した不規則波中での被曳船の時間領域での船体運動及び振れまわり運動計算法を提案する。この計算法による,不規則波中,複数の材質で構成する曳索の弛緩・緊張状態での動的索張力と,被曳船の船体運動と振れまわり運動計算が可能となる。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により模型実験の期間短縮,学会出張の取りやめなどが生じた。次年度以降,やり残した模型実験を実施し,状況が許せば成果発表のための出張を計画する。
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