2023 Fiscal Year Research-status Report
Consensus building process from the perspective of "importance," "inevitability," "consensus," and "stress".
Project/Area Number |
21K04525
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
藤本 勝成 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (50271888)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 集団意思決定 / 包除積分 / 離散偏微分 / 連言・選言 / 必然・可能 |
Outline of Annual Research Achievements |
1つの評価対象に対して,様々な価値観や背景を持った複数人が,集団としての共通の評価を与える状況を考える.多基準の意思決定問題において,最も単純な集団評価の与え方は,各人の評価の平均化である.一口に,平均化と言っても,算術平均,幾何平均など,与えられた文脈の中で様々である. 昨年度までに、本田ら(https://doi.org/10.1007/978-3-319-40596-4_7)によって定義された包除積分における相互作用演算子によって集合関数化された各人の評価値の算術平均を集団評価値とすることが、集団見解における「ストレス」を最小化する事を示した。 今年度の研究では、上述の「各人の各属性における評価値(属性値)」を集合関数化する際に用いられる相互作用演算子を、可換で連結な演算子(AC-operator)として捉え、「連言的」に次元拡大を行うAC-operatorなのか、また、「選言的」にそれを行うAC-operatorなのか等の観点から、それぞれの場合の特徴を整理した。また、「連言性」、「選言性」は、集合関数化された評価値のある種の微分構造として現れることも明らかした。この際、集合関数に対する逆方向離散偏微分という概念を提案した。また、これらの性質をもつ相互作用演算子に関する包除積分に対する分析を通して、相互作用演算子における「連言・選言」は、様相論理における「必然・可能」と深い関係にあることを示唆する結果も得た。この「必然・可能」の概念と関係性は、「ゆずれない・重きを置く」との関係性に接近する上で重要な役割を果たすことが期待される。 これら結果については、第28回 曖昧な気持ちに挑むワークショップ,および,第34回 ソフトサイエンス・ワークショップにおいて公表した. また、国際会議および欧文論文誌においての公表も準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画に沿って,既存の集合関数をベースにした多属性意思決定理論および,合意形成ベースの集団意思決定理論の構築を順調に進めている。 昨年度までに、「ストレス」に注目した理論構築とその妥当性の検証を行ってきた。 今年度は、これに加え、各人の「ゆずれない」「重きを置く」へ検討範囲を拡げ、これまでに検討・提案してきたモデルが、連言・選言と必然・可能の概念をリンクさせる概念であることの検証を進めた。これらによって、「ゆずれない」「重きを置く」を適切に表現するモデル構築に接近してきているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる来年度では、提案した(する)モデルが、「ストレス」「コンセンサス」の観点から、望ましいモデルとなっていることの検証を進めるとともに、「ゆずれない」「重きを置く」の観点からのモデルの選択・解釈の方法を提案していく。さらに、これらのモデルの計算機実装を行う。 また、これらの成果を、国際会議・欧文雑誌を通して、周知していく。
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Causes of Carryover |
申請時には予測できなかった、円安と海外物価(航空運賃等)の高騰により、次年度の国際会議における成果発表のための旅費の不足が予想されたために、本年度の物品・消耗品等の支出を抑制し、積極的に次年度に繰り越した。
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