2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04526
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 祐一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40602959)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スパース推定 / 生存時間分析 / 比例ハザードモデル / 相続紛争 / 採点システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、比例ハザードモデルのスパース推定問題に対する解法の研究と、混合整数最適化を用いたリスク採点システムの研究を実施した。 比例ハザードモデルとは、観測開始から事象の発生までの期間を予測する生存時間分析のための統計モデルであり、遺伝子発現や顧客関係管理、信用リスクなどの分析で利用される。比例ハザードモデルの分析結果の解釈性を向上させるために、なるべく少ない変数で精度の高い分析モデルを構築できるスパース推定が有効である。本研究では、比例ハザードモデルのスパース推定問題を二段階最適化問題として定式化し、下位問題の二次近似を用いた高性能の切除平面法による解法を提案した。数値実験の結果、提案手法は特に低次元のデータセットに対して優れた予測性能を示した。また、二次近似を用いることで計算の高速化と高い汎化性能が実現できることを検証した。 相続の際には様々な要因によって一定の割合で紛争が発生し、少子高齢化を背景に遺産分割事件数は年々増加している。本研究では、ロジスティック回帰に基づく混合整数最適化モデルと区分線形近似を組み合わせて、相続紛争の予防・回避のためのリスク採点システムを作成した。採点システム作成の際には、紛争発生の代理指標として遺産分割協議の長期化に着目している。この採点システムを利用することで、専門的な知識が無くても計算機を使用せずに簡単に相続紛争のリスクを算出することができる。数値実験の結果、偏回帰係数に整数変換処理を適用する簡易的な方法と比較して、提案手法は優れた予測精度を示した。また、提案手法で作成した採点システムについて、質問項目に対する選択肢や得点の妥当性を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比例ハザードモデルのスパース推定問題に対して高性能の厳密解法を構築できた。また、相続紛争のリスクを算出するために有用な採点システムを構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は最良スパース推定の厳密解法の対象を、サポートベクトルマシンや推薦システムなどの機械学習の問題に拡張していくことを計画している。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が取りやめとなったため、次年度の出張旅費として使用を計画している。
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