2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of social forgetting using text data with time stamps
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21K04529
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
渡邊 隼史 成城大学, 経済学部, 准教授 (30783956)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゆらぎのスケーリング / 超慢拡散 / 複雑系 / ソーシャルメディアデータ / テキストデータ / ビッグデータ / 拡散現象 / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主要の成果は,「ゆらぎのスケーリング」と「Ultra slow diffusion(超慢拡散,対数拡散)」という2つの複雑システム現象(社会現象や自然現象など多くの要因からなる複雑な現象)の量的な関係性についての研究を論文化したことにある. 具体的には,「ゆらぎのスケーリング」と「超慢拡散」について,2つの現象の関係性を数理的に示し,それが国内のブログデータの単語カウントの時系列(ある日に日本中のブログに注目する単語が書かれていた記事数をカウントした時系列)で実際に観測できることを示した. ここで,「ゆらぎのスケーリング」とは,着目する量のシステムのサイズ(平均)との変動(ゆらぎ)がべき乗関係になる現象である.川の流量,ネットパケットなど様々なシステムで観測されることが知られている. 一方の「対数拡散(Ultra slow diffusion)」は拡散現象の一種であり,広がり方が「時間の対数のべき乗」に比例するとても遅い拡散である. この拡散の実際の現実世界での観測例はほとんど報告されていない. 本研究の意義の一つは,複雑系科学としては,2つの現象の関係性を利用することで,観測しやすいゆらぎのスケーリングを利用し,観測しづらい対数拡散の存在可能性を間接的に示せることを示唆したことにある(対数拡散はとても遅い拡散のため,安定状態[定常ノイズ]と区別が難しく,非常に観測しづらい).これにより,現実観測がほとんどなかった対数拡散の観測例の発見への寄与が期待される.社会応用的には,ウェブの書き込みを利用した社会観測(ソーシャルリスニング)において,移動平均をとり時系列のノイズ削減をすることは一般に行われるが,対数拡散の効果により,移動平均によるノイズ削減には限界があり,平均数が増えてもある一定以上はノイズ削除できなくなる可能性(観測粒度限界の存在)を示唆したことにある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新たな大学への着任のため教育業務のため研究が遅延した(1年研究期間を延長する予定)。ただし,今年度は,本来の研究計画と関連するが予定しなかった「ゆらぎのスケーリング」と「対数拡散」の関係性を論文として成果化することはできた。また,当初今年度に予定していた新語のソーシャルメディア上での普及現象に研究ついて,ほぼ内容が確定し,論文化作業を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,現在準備中の新語のソーシャルメディア上での普及現象の論文の投稿を最優先の目的とする。できれば,今年度前半までには投稿を行いたい。また,今年度後半より,明治大正時代の新聞のレイアウト解析の研究を開始する予定である。 加えて,論文投稿後(今年度後半,もしくは,次年度を予定)は,ブログデータにおける長期の記憶現象の研究に本格的に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスで出張等を控えため。また,大学の異動初年度だっため研究が遅延したため。
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