2021 Fiscal Year Research-status Report
A Research on Integrated Scheduling Method Synchronizing Flowshop and Jobshop
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21K04552
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松川 弘明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30242275)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生産スケジューリング / 生産計画 / 納期回答 / 安全在庫 / 同期化 |
Outline of Annual Research Achievements |
受注生産では受注してから生産計画を作成し、生産作業をへて製品が出来上がるまでに時間がかかる。この時間を製造リートタイムと呼ぶことが多いが、納期回答として用いられることもある。この製造リートタイムを正確に見積もることは難しく、余裕を持って長いリードタイムで回答すると顧客が逃げてしまうことがあり、納期回答は競争力の1つの指標になっている。納期回答は今まで過去の経験に基づいて、生産負荷を加味して見積もることが多い。しかし、現在の生産計画の作成方法のもとでは、どのように精密な計算を行うとしても論理的に間違った計画を作成することになる。その理由は「大日程計画、中日程計画、小日程計画」といった従来の日本的生産計画作成の仕組み、或いは近年の欧米発の「階層的生産計画」の仕組みの中に、組み立て及び部品加工の各工程における設備制約と加工順序の制約を考慮してないためである。座席予約システムなどAPS(advanced production scheduling)手法においても同じ問題が存在し、フローショップとジョブショップの同期化は行われていない。 本研究では日程計画を作成する段階において、受注ロットサイズなどを含めた最適生産ロットサイズを形成する日程計画を作成しながら、フローショップスケジューリングとジョブショップスケジューリングを連携して作成し、同期化できるようにする新しい枠組みを提案している。さらに、同期化ができない部品についてはフローショップとジョブショップ間に在庫を置くことで同期化を実現し、この在庫を安全在庫とする方法を提案している。 提案手法はERPベンダーが提供するMMモジュールやPPモジュールの欠陥を補い、生産計画の作成と進捗管理に大きく貢献できることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フローショップスケジューリングの問題を解いてからその解を条件としてジョブショップスケジューリングを解くようにしていたが、逆にジョブショップスケジューリングを先に行ってからフローショップスケジューリング問題を解く手順を追加し、二つの解の差を用いて改良を行うようにしている。ギャップが埋まらない場合には安全在庫を設置して同期化を実現するようにしているが、ここではロットサイズをどのように設定するかが問題になる場合があり、現在は一旦受注量そのものをロットサイズとして決定し、その後同じ商品、または部品であり、かつ前後つながっている場合にロット併合を行うようにしている。 数値実験では同期化を考慮しなかったスケジューリングよりそう加工時間が短くなることが確認でき、さらに納期回答の精度も高くなっていることを確認できた。これは座席予約システムとは異なり、再スケジューリングにより各工程における日程計画が変更されることがあるので、実務でこの手法を取り入れる際には時間単位を1日にするなど、工夫する必要がある。 論文は2022年3月12日開催された経営工学会生産物流部門の産学連携交流会で発表し、企業の参加者からもいろいろとディスカッションを行い、今後の研究に取り入れて拡張していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの研究テーマで研究を続けたいと考えている。1つは大規模スケジューリング問題にチャレンジすること、もう1つは安全在庫の計算手法を開発すること。 スケジューリング問題はスマート工場の運営において必要不可欠であり、MRPの固有問題を解決する効果もある。実用的なものにするためにはやはり数万点の部品規模のスケジューリングを1時間以内に解けるようにする工夫が必要であるので、モデルを拡張するだけでなく、アルゴリズムを開発することも考えなければならない。アルゴリズムの開発については数学的に精緻でスマートなものを追求するのではなく、制約の伝播を用いて実行可能会の空間を狭めることを考えたい。 安全在庫についてはいままで統計学的な手法が主流だったが、スケジューリングを考えて安全在庫を決める時には最悪ケースを考慮して決める必要がある。この最悪ケースはスケジューリングをしてから決めることもできるが、すべての部品に対して同じ扱いをする必要はなく、重点管理をすることが大事であると考えられる。重点管理を行う部品は現場の経験を生かすことが大事であるが、本研究では現場の経験まで取り入れた実験はできないために、重点管理を行う部品をランダムに選ぶ方法、加工時間、加工数量、加工ロットサイズが大きいものを重点管理するようにし、安全在庫の計算では最悪ケースを初期解で設定することから始め、徐々に改善していくようにする。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により国際会議への出席ができず、旅費が残っている状況です。また、謝金もコロナの関係上現場を知っている人に講演を依頼することができませんでした。次年度は国際会議に出席して研究成果を発表すること、また現場に使えるようにするためにアプリを作成することを考えています。
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