2023 Fiscal Year Research-status Report
病院の食事提供における災害レジリエンス評価方法の確立
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21K04553
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金子 雅明 東海大学, 情報通信学部, 教授 (30454036)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 輸血業務 / 医療サービスのレジリエンス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は,病院における災害レジリエンス評価方法の確立であり,そのための題材として災害時に継続提供が求められる医療サービスのうち,災害食の提供を取り上げて,研究期間の最初の2年間はその検討を中心に行った.3年目の昨年度は,災害時における食事提供プロセスに対して考案した評価の視点・観点の網羅性と汎用性を確かめるため,災害時の薬剤提供という医療サービスに新たに焦点を置いて,研究を進めて検証を行った.本年度はさらに災害時の輸血業務に関しても取り上げて,検証を行うこととした. 具体的には,災害拠点病院であるA病院との共同研究の中で,まず平時における輸血業務の実態を業務プロセスフローチャートにて可視化し,各業務で使われる設備・機器,帳票・ワークシート類,情報システム,その他物品等を把握した.また,実際の担当者に対してヒアリングし,災害時に起こりえる問題点を把握した.また,災害時において輸血業務でどのような障害や問題が発生していたか,事前にどのような備えをしていたから問題なく対応できかについて,関連する事例,文献,論文等を調査した.これらA病院と文献調査の両方の結果に基づいて,災害時に起こりえる輸血業務上での問題点をツリー構造(系統図)で体系的に展開し,輸血業務問題点一覧表を作成した. 輸血業務問題点一覧表を検証するため,A病院の検査科スタッフに協力していただき,机上による災害演習・訓練を行った.検証の目的のひとつは一覧表の網羅性であり,A病院で上がってきた問題点をすべてカバーしていることを確認できた.検証のもう一つの目的はこの一覧表を活用することで,災害時の輸血業務で起こりえる問題点を発見できるかである.実際に災害演習・訓練スケジュールの後半では,一覧表をもとにディスカッションを行ったところ,前半でのディスカッションでは出てこなかった新たな問題点を6つ発見することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,直接的には災害食の食事提供のレジリエンス評価であるが,その汎用性・有用性を確かめるためには,他の医療サービスである薬剤の備蓄・提供や輸血業務についても検討する必要性があることがわかっている.その意味で,研究期間の2年目,3年目はそのような計画で研究を進めてきており,おおむね順調に進んでいると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究状況でと述べた通り,おおむね順調に進んでいるものの,一方で,薬剤,輸血での調査結果を踏まえ,災害食におけるレジリエンス評価方法の精緻化にはまだ至っておらず,その点を次年度は研究し完成させたい.また,これら各医療サービスの特徴を整理し,それらの間の共通点,相違点を整理したうえで,災害時における医療サービスのレジリエンス評価方法として何が求められるかを追求していく必要がある.
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Causes of Carryover |
研究の全期間3年間のうち,1年目と2年目ともに新型コロナの感染拡大により,共同研究先病院との研究会合や打合せのための出張ができなかったことが,当該助成金が生じた主要な要因である.本年度は新型コロナが5類相当に分類され,制限が緩和され,共同研究先への研究出張がある程度できたが,それでも当初の予定からは遅れている. したがって,次年度は研究出張できる病院数も増えることが期待されるので,そのための研究・調査出張旅費と,これまでの2年間の研究成果をまとめて国際学会等で発表し,積極的に公開していくための研究成果公開費用に当てていくつもりである.
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