2021 Fiscal Year Research-status Report
製造システムにおける衝突確率と最適化問題に対する効率的な解決法の提案
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21K04555
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
千葉 英史 法政大学, 理工学部, 准教授 (70434892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 帯紀 筑波学院大学, 経営情報学部, 助教 (00897449)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 確率モデル / 並列型待ち行列 / バッファ / 等間隔到着 / 衝突確率 / アルゴリズム / シミュレーション / 製造ライン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,製造システムへの応用を有するバッファ付き並列機械モデルに焦点を合わせた.このモデルは,待ち行列理論における,待ち行列の客の人数制限を考慮した並列型待ち行列とみなすことができる.ただし,新たに到着する客は一番短い行列に加わり,一度行列に加われば他の行列に変わることを許さないとする.本研究では,バッファ付き並列機械モデルにおいて,衝突確率を求める効率的なシミュレーションアルゴリズムを開発した. 提案アルゴリズムの核となる衝突の有無の判定では,複数の基本的なデータ構造(処理完了時刻をキーとして持つ処理中の機械集合S1を管理するmin優先度付きキュー,待機ジョブ数をキーとして持つ機械集合S2を管理するmin優先度付きキュー,各機械のバッファで処理待ちをしているジョブを管理するキュー)を活用する.与えられたジョブは等間隔で到着するとして,各ジョブの到着毎に以下の手続きを行う. まず,ジョブ到着時までに処理を完了するジョブに対して,(1) S1から最小キーを持つ機械Mを取出す,(2) Mのキューからジョブを取出す,(3) S1にMを挿入する,という各操作を必要に応じて行う.次に,到着したジョブに対する手続きを行う.具体的には,S2から最小キーを持つ機械Mを取出した後,Mのキー値に応じて,(1) S1にMを挿入する,(2) Mのキューにジョブを挿入する,(3) 衝突が生じると判定する,という操作のいずれかを行う. また,衝突判定に必要な時間計算量は,各機械のバッファ数に依存しないことが分かった.さらに,提案アルゴリズムを実装して,種々のパラメータ設定において,実際に計算に必要なCPU時間,最適なジョブの投入間隔などを考察した. 一方,本研究で扱ったバッファ付き並列機械モデルの自然な拡張が可能であり,そのようなモデルに対しても研究を進めていく必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,搬送時間とバッファを考慮した直並列機械モデルに焦点を合わせるつもりだったが,より単純な製造モデルを自然に拡張することで対応できることが分かってきた.そのため,バッファ付き並列機械モデルを対象にして研究を進めたことで,確実に研究成果を上げることができ,順調に進捗していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で扱ったバッファ付き並列機械モデルに密接に関連する製造モデルが種々に存在する.具体的には,バッファ付き並列機械モデルでは,全ての機械のバッファ数が同じであると仮定したが,この仮定を緩和することで一般化される製造モデルが考えられる.また,処理待ちのジョブは,並列に並んだ機械の前に一列に並び,どれかの機械が空けば次の順番のジョブが処理を受けるというタイプのモデルも存在する.このようなモデル上で衝突確率を求める効率的な算法を開発する予定である.さらに,搬送時間とバッファを考慮した直並列機械モデルの考察をすることで,研究対象としての製造モデルの多様性を広げていく.その際,バッファ付き並列機械モデルに関する研究から得られた知見を活用することを試みる.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,計算機実験を効率的に行うために,高性能ワークステーションを購入する予定であったが,研究の進捗状況(特にアルゴリズムの側面に注力)により,令和4年度に購入することにした.また,研究成果を国内外の学会にて発表するための旅費について,コロナウイルスの影響のため,旅費を使用することができなかった.これについても令和4年度以降の旅費として使用する.
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