2021 Fiscal Year Research-status Report
ニオイ火災感知に活用する調理時のニオイ変化に基づくニオイマップの作成
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21K04566
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Research Institution | Suwa University of Science |
Principal Investigator |
上矢 恭子 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 講師 (10803356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 泰資 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (10240764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニオイ / 分類 / 火災感知 / 食品 / 定性分析 / FT-IR / TG-DTA / におい識別装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
「きな臭いニオイ」などのニオイの変化により、煙や熱を感じるより早い段階で火災に気づくことがある。人はニオイを火災発生の判断に使っており、ニオイは火災科学の重要な要因の1つとなっている。これまでに、木材やプラスチック材料が酸化熱分解する際には、ニオイが強くなり、またニオイの質が変化することが明らかとなっている。本研究では、家庭内で発生するニオイとして、調理時のニオイに着目し、火災臭との比較を行うことを目的としている。 食品香料は、多種多様な種類があり、多くは食品から抽出液を用いて作られている。安価で一定の規程内で製造されているため、測定試料に採用した。食品香料は54種類とした。調理時の状況と同様に作り出すため、TG-DTAを用いて一定昇温度速度で加熱をした。TG-DTA(リガク TG-8120)の排気口からFT-IR(日本分光 FT-IR4200)を通したガスを採取し、におい識別装置(島津製作所 FF-2A)で測定した。TG-DTAの条件は、昇温度2 ℃/minとし、到達温度は250℃、サンプル重量約5 mg、標準試料はアルミナとした。FT-IRは、2.4 mのガスセルを用いて、サンプリング間隔を30秒とし、波長は7000~1000 cm^-1、繰返し回数は8回とした。 この結果、TG-DTAの温度が約150 ℃となると、全ての香料は蒸発した。FT-IRの結果から、最初の15分程度(TG-DTAが約50 ℃)になると、スペクトルに変化が見られず、蒸発した成分が微量のため、検出下限値以下となった。人の感覚でニオイの質が異なっていても、スペクトルに大きな変化は見られなかった。ニオイの差に繋がる成分が微量のため検出できないのか否かについては、FT-IRでは判断が付かなかった。におい識別装置での測定結果では、人の官能評価と似たような系統で分類ができることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食品の一部である食品香料に対して、ニオイ測定が終了した。今後は、動物性たんぱく質や植物性の食品を実際に酸化熱分解させた際のニオイ測定を行う。また、TG-DTAを用いた材料での小型試験から、様々なニオイが混在するニオイ測定を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、実際の食品を加熱した際のニオイの変化を明らかにする。材料試験では、TG-DTA(リガク TG-1280)、FT-IR(日本分光 FT-IR 4200)、におい識別装置(島津製作所 FF-2A)を用いて、肉や魚、野菜やご飯等を対象に計測する。 この試験は、個々の材料における試験であり、実際の調理時には、油や材料、調味料などが混在している。そのため、材料2種類(油と具材)や材料3種類(油、具材、調味料)等の組み合わせにより、材料が燃焼する前の状況でニオイがどのように変化するのかを明らかにする。実際の調理時の様子を再現し、ニオイ分析を行う。さらにこのニオイ測定結果は、木材やプラスチックの酸化熱分解時に発生するニオイと比較し、ニオイの区別が可能か否かを明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で打合せ等の旅費の使用がなかった。また、世界的に品物不足の状態が続いており、予定していた部品が入手できなかった。そのため、来年度に持ち越して購入をする。
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