2022 Fiscal Year Research-status Report
A study on traffic hierarchy to substantiate pedestrian priority in crosswalks
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21K04569
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 麻樹 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00312166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友野 貴之 札幌学院大学, 心理学部, 講師 (00845703)
佐藤 健 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (40277794)
申 紅仙 常磐大学, 人間科学部, 教授 (80382828)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トラフィックヒエラルキー / 信号機 / 横断歩道 / 交通弱者 / 歩行者 / 自転車 / キックボード |
Outline of Annual Research Achievements |
交通弱者の優先性にかかるドライブシミュレータ実験として,VR環境を用いた道路空間上に表示された直線道路上の信号機付き横断歩道におけるドライバーの視線移動について計測実験を行った. 当初既存のドライブシミュレータを使用する予定であったが,道路条件の統制と運転視野の確保について検討した結果ヘッドマウントディスプレイにより刺激を提示することとした.実験では一時停止後,発進にかかる運転行動前のドライバーの視線移動に着目し,赤信号で待機する時間ならびに歩行者用信号の提示方法を説明変数としている.結果として待機時間が長くなると信号の切り替わりから発進までの時間が短縮する傾向を示すこと,歩行者用信号に待機時間を示すゲージの表示がある場合とない場合とで早期発進に影響をおよぼすことがわかった. また交通弱者として自転車をとりあげ,道路左側を直進しているときに前方に駐車車両がある場合などは衝突を避ける必要がある.その際当該駐車車両の右側を通過するためには道路中央を走行しなければならず,自車に後続する車両との接触を避けるために安全確認行動が必要となるが,後方を向くため運転中の姿勢が不安定になる.そこでバックミラーの使用の効果を定量的に示すシミュレータ実験を実施した結果,確認に要する時間の短縮が認められた.また駐車車両左側をすり抜ける判断をする際に必要とされる道路と車両との間隙にかかる実車実験を実施した結果,自転車の幅の約1.2倍程度の間隙を要することがわかった.また昨今普及しつつある電動キックボードの場合は約1.3倍程度の間隙を要することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
道路上において歩行者や自転車等の交通弱者を優先するトラフィックヒエラルキーの要件抽出にあたり,主にシミュレータによる実験手法と海外調査手法を並列的に計画していた.しかしながら2020年度以降の新型コロナウィルス感染拡大の影響で,2021年度は密室におけるシミュレータ実験と海外渡航を十分に実施することができなかったため,2022年度は主にシミュレータ実験を複数実施し,歩行者とともに自転車を含めた横断歩道周辺の運転行動要件の抽出にかかる実験を行った.一方で海外調査については現地調査の調整が間に合わず2023年度に送ることとするも,新型コロナウィルスの感染拡大により2020年度以降,欧州の道路事情について大規模な変革が実施されてきた.すなわち自動車専用道路の改装により歩行者並びに自転車を中心とした道路構造を大規模に導入したことで,優先性が向上するとともに地球環境に対する悪影響の低減に寄与している.新しい道路事情に対する評価を目的とした調査研究に展開できる可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
道路上の交通弱者優先にかかる運転行動の評価ならびに歩行者と自転車の交通行動の評価にかかる研究はひきつづきVRを用いたシミュレータ実験により,交通行動の要因抽出を実施する.知見で得られる歩行者や自転車側の被視認性の改善と道路上における優先性の実効性との関連性について知見を蓄積する予定である.一方で新型コロナウィルス感染拡大をきっかけとして欧州を中心に展開している道路行政の変革にかかる現地調査により,自転車ならびに歩行者の通行が物理的に優先される道路構造の効果について,交通安全に対する寄与とともにカーボンニュートラルに代表される環境に対する寄与にかかる定量的,定性的データを収集する予定である.
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Causes of Carryover |
2020年度以降の新型コロナウィルス感染拡大により実験および調査の実施が延期されたため,繰越しが発生したことで次年度使用額が生じた.2023年度分と合わせて遅延した研究活動の実施に充てて使用する予定である.
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Research Products
(3 results)