2021 Fiscal Year Research-status Report
トンネル内外の爆風被害を低減化する爆風吸収トラップの開発と活用
Project/Area Number |
21K04574
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
保前 友高 富山高等専門学校, 商船学科, 教授 (30470032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 勇太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30711949)
丹波 高裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (00833930)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 爆薬 / 爆風 / トンネル内爆発 / 爆風吸収トラップ / トンネル形状 / 被害低減 / 小スケール実験 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究の目的:地下通路やトンネル内で爆薬等が爆発した際に発生する爆風は、衝撃波としてトンネル内部を伝播する。爆風による被害を低減化するため、トンネル壁面に障害物を設けたり、壁面の材料を工夫したりする技術や低減化のメカニズムは研究されてきているが、トンネルの利便性やメンテナンス性への考慮は、十分とは言えず、実用化されているものは少ない。そこで、本研究では、申請者のこれまでの爆風低減化の成果に基づき、トンネルの使い勝手に影響を与えない爆風吸収トラップを提案する。トンネル経路のクランク部にトラップを設ける。100 mg程度の爆薬を使用する独自のテーブルトップ室内爆発実験法により、トンネル内外の爆風挙動を評価する。独自の数値解析手法と組み合わせて爆風エネルギーの吸収メカニズムを解明し、爆風吸収トラップを最適化する。本研究の成果により、トンネル内の爆発事故やテロ攻撃等による被害を低減化できることが期待される。 2.本年度の成果:①トラップ内部に設置する緩衝材の種類、トラップ形状、トンネル経路依存性の要素実験、これらの可視化実験:今年度は、コロナ禍により移動が制限されたことから,研究代表者は,実験設備が整った産業技術総合研究所に出張して実験を行うことができなかった。このため、本年度は、次年度以降の実験に向けた研究の準備を行うにとどまった。縮小モデルの検討・試作、計測系の準備、特に管内温度変化計測に関する情報の調査、トラップ内部に設置する緩衝材の情報収集、供試火薬類の購入などを行った。 ②独自開発の数値解析コードの改良・検証、実験データの解釈、現象の理解:今年度は爆風トラップに関する実験データを得ることができなかったが,トラップとしての採用候補である水,砂,多孔質材料のモデル化に必要な物理モデルを数値計算プログラムに導入し,過去の類似実験(直管内爆発)などで得たデータをもとに検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トラップ内部に設置する緩衝材の種類、トラップ形状、トンネル経路依存性の要素実験、これらの可視化実験について、今年度は、コロナ禍により移動が制限されたことから,研究代表者は,実験設備が整った産業技術総合研究所に出張して実験を行うことができなかった。このため、本年度は、次年度以降の実験に向けた研究の準備を行うにとどまった。縮小モデルの検討・試作、計測系の準備、特に管内温度変化計測に関する情報の調査、トラップ内部に設置する緩衝材の情報収集、供試火薬類の購入などを行った。一方、計画では今年度中に実験を行い、基本的な実験系を確立し、トラップ内部に設置する緩衝材の種類をパラメータとして、爆風低減効果を評価する予定であった。トラップ内部に設置する緩衝材は、これまでの研究で爆風のエネルギーを効果的に吸収し、低減効果が高かった水、砂、多孔質材料などや、不燃性の軽量材料(ガラス繊維など)などを候補としていた。これは、緩衝材の衝撃圧縮に伴う熱エネルギーへの変換、吸収や、複雑な反射を伴うことによる拡散の効果を意図していた。これらの評価を行うことができなかった。 独自開発の数値解析コードの改良・検証、実験データの解釈、現象の理解について、トラップとしての採用候補である水、砂、多孔質材料のモデル化に必要な物理モデルを数値計算コードに組み込んだ。過去の類似実験系(直管内爆発)や水滴と衝撃波の干渉問題などで得られていた実験結果をもとに、コードの改良・検証を行った。今年度は数値解析結果の妥当性を評価するために必須な実験データを得ることができていないため、爆風吸収トラップによる爆風低減機構を検討する数値解析は行なっていない。 以上のことから,本研究課題は(3)やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、まず、基本的な実験系を確立し、トラップ内部に設置する緩衝材の種類をパラメータとして、爆風低減効果を評価するための実験を行う。次に、トラップの大きさ(長さ、断面積)、形状(直管、絞り、拡大)も爆風エネルギー吸収の量を決める大きな要因であると予想されることから、これらをパラメータとして実験を行い、低減効果への依存性を評価する。 数値解析については,上記の実験データを得た上で、これまでトンネル内爆発についての解析の妥当性が確認されている本コードの本研究への適用方法とその妥当性を検証し、必要に応じてコードの改良を行う。その後、本研究で得られた実験データを数値解析により解釈・説明する。トンネル内で爆薬が爆発した際のトラップによる爆発エネルギー吸収メカニズムを解明し、爆風吸収トラップに設置した材料と吸収量の関係の定量的な理解を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は,コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言等のために移動が制限されたことから,研究代表者が産業技術総合研究所に出張して実験を行う機会がなかった。また,研究成果を発表するため,国内開催の学会へ出席する予定であったが,中止になったり,オンライン開催になったりした。このため,旅費の金額が小さくなった。実験を行うことができなかったため、消耗品の購入も行わなかった。このため、物品費の金額も小さくなった。 次年度は,コロナ禍の状況を勘案しながら,早めに実験計画を策定するとともに,引き続き国内開催の学会での成果発表を計画し,執行する。
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