2022 Fiscal Year Research-status Report
Risk of long term power outage in urban areas due to wind-borne debris during super typhoon
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21K04589
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
友清 衣利子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (30346829)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 飛散物 / 張力変動 / 強風被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
台風等の強風による構造物被害では,風力そのものによる被害だけでなく破損した断片等が飛散物となって被害が連鎖し,拡大する。本研究では特にシート状の飛散物に着目し,飛散物の衝突や絡みつきによる構造物破損への影響を検証する。 2022年度の成果は下記の通りである。 ①前年度製作した風洞装置を使用したケーブル張力計測システムを構築した。より線のワイヤをシリコンチューブに通して,ケーブルの縮尺模型でも十分な単位重量と受風面積を確保できるようにした。また,ケーブル張力を計測するために金属板とひずみゲージを利用した簡易の張力変動計測装置を作成した。 ②ケーブルに付着した飛来物の種類と風速をパラメータとし,ケーブルの張力を計測した。付着物として,金属板を想定したアルミ箔(厚さ0.011mm)と農業ハウス用のシートを想定したポリエチレンシート(厚さ0.01mmと0.02mm)を使用し,付着物の幅や長さを変化させて実験を行った。平均風速の増大に伴いケーブルの変形状態が変化し,風速の増大とともに張力は二乗で増大することを確認した。付着物の重量は張力の増大に直に影響する。また,付着物がある状態で風速が増大しても平均張力に顕著な増加は見られなかった。しかし,実験時の映像から,付着物の瞬間的な変形は張力変動に影響を及ぼすことが分かった。張力の時刻歴変化と付着物の有無を検討したところ,付着物があると張力の変動係数が大きくなることが分かった。 強風下でのケーブル張力の変動に及ぼす付着物の影響を定量的に把握することができれば,飛来物の付着による被害拡大の分析が可能となり,大規模停電を引き起こした強風被害要因の究明に資する情報が提供できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
簡易な張力計を自作し,実験計測手法を確認するとともに予備実験を行ったが,購入を予定していた張力計の納入に時間を要したため,詳細な張力変動の計測ができなかったため。今後は年度末に納入された張力計で詳細な張力変動計測を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の計画を以下に示す。 ①可撓性飛散物の飛散挙動を動画等で撮影し,変形挙動と張力変動との関係を定量的に評価する。 ②風洞実験結果と数値計算結果を比較し,実験との対応を検証するとともに,理論値と実験値との相違点を把握し,静的な解析と動的な挙動の違いを検証する。 ③飛散物による被害実態と風洞実験,静的解析結果の対応を検証し,耐飛散物構造設計の対策を検討する。
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Causes of Carryover |
半導体不足によって張力計の納入までに時間を要し,年度内での張力計の検証と追加機器の購入ができなかった。また,新型コロナウィルスの影響により,学会発表等に係る旅費が発生しなかったため,次年度滋養が生じた。年度の頭に実験機器の使用確認を実施し,必要な機材を追加で購入する。また,対面で実施される学会が増えてきたので,学会に参加し成果を発表するための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)