2023 Fiscal Year Research-status Report
COVID-19影響下における被災者の自助・共助の災害対応活動に関する研究
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21K04593
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
重川 希志依 常葉大学, 社会環境学部, 名誉教授 (10329576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 尋子 常葉大学, 社会環境学部, 教授 (10612484)
田中 聡 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (90273523)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COVID-19 / 災害対応 / 保健所 / 消防機関 / 疫学調査 / 自宅待機者 / 入院・入所 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は新型コロナ感染症に対する地方公共団体の対応状況を把握し,対応プロセスの同定と,自然災害と感染症という異なるHazardに対して,行政組織の対応を比較し,共通点及び相違点を明らかにした.調査対象は,保健・医療分野においては,1)奈良県福祉医療部,2)奈良県郡山保健所,3)奈良県生駒市健康課を対象とし,防災分野においては1)岩手県釜石市消防本部救急業務担当を対象に,エスノグラフィー調査を用いて実施した. 各機関の新型コロナ感染症対応は2012年に整備された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき実施されている.同法に基き国,都道府県,市町村は行動計画を定めており,役割分担が明確にされていた.このため新型コロナ感染症対応においても,各機関の役割は決まっていたが,計画では想定されていなかった場面は多数存在した.また個々の業務を現実に実施するには,具体的な手続きや手順が未知の業務も多く,想定外に直面する課題も多かった. 消防機関における救急搬送等の対応はエボラ出血熱に備え様々な決め事があり,感染症対応の研修も年1回程度継続して実施されていた.しかし実際に運用したのは新型コロナ感染症対応が初めてであった.新型コロナ感染症では,保健所からの依頼を受け患者の移送をする基本ルールがあったが,搬送先病院も未定,患者の状況も不明のケースもあり,事前のルールとは異なる状況も発生した. また自然災害時には,市町村が多くの災害対応業務の実施主体となり,都道府県は市町村相互間や国との調整業務が中心となる.しかし新型コロナ対応では,患者発生の状況や感染経路等の情報収集,医療従事者等の確保など,実務対応業務の多くを都道府県が担っている.また全国一律にコロナ対応の必要性があり,都道府県外からの広域応援で職員を確保することは不可能で,自身の組織内での人材のやりくりで対応したことも特徴である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年5月8日,新型コロナ感染症は感染症法上の5類に移行した.このため,調査対象となる各機関はコロナ対応業務が大きく減少し,年度後半の時期にはほぼ通常業務中心の状態となった.このため,コロナ対応業務を中心的に担った職員に対し,長時間にわたるエスノグラフィー調査を依頼することが可能となり,年度当初に計画した調査をほぼ順調に実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年5月に新型コロナ感染症は感染症法上の5類に移行した.このため,感染拡大防止のための様々な規制がなくなり,また新規感染者数や入院患者数の統計データも測定ならびに公表されていない.社会活動もほぼ感染拡大以前の状況に戻り,海外からの旅行者などの急増も含め,観光地や繁華街などの混雑は甚だしく増加している.一方,罹患時の症状は軽症化しているものの,いまだに新規感染者は発生し続けている. このような状況下において,2024年1月1日に発生した能登半島地震が発生した.本災害では罹災証明書発行等の支援のため,総務省対口支援制度を含め全国から多数の職員の協力を得ており,新型コロナが及ぼす支援への影響を解明する.また本震災の被災地では,これまでの災害時に比べ避難所の混雑度は低く,感染症対策も含め災害時の人の行動に新型コロナが与えた影響は存在している. このことを踏まえ,今後は,感染拡大から4年を経過した現段階において,地方公共団体や被災者の災害対応に新型コロナ感染症が及ぼす影響を解明する.その後,今後の災害時の避難行動や地域共助体制,組織の広域応援活動に関し,①外部からの支援に制約がある場合,②外部からの支援に制約がない場合の分析を行う.
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Causes of Carryover |
2023年度中に,被災自治体職員を対象としたエスノグラフィー調査に基く災害対応プロセスの同定に関る現地調査を予定していた.新型コロナ感染症は2023年5月に感染症法の第5類に移行したが,調査対象先の状況で対面調査でなくオンラインでの調査を希望するケースが発生した.また被災者へのエスノグラフィー調査も同様に,オンラインでの調査実施ケースが生じた.このため,当初予定していた記録用の撮影機材等の物品購入が不要となり,また旅費交通費の一部も不要となった.このため,2024年度に調査結果の内容確認と研究成果とりまとめを目的とし,現地にて調査協力者等との研究会を実施する.
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