2021 Fiscal Year Research-status Report
Pedestrian simulator for indoor layout designs aiming at natural dense relaxation
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21K04597
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
伊藤 尚 富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (30635214)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パーソナルスペース / Social Force / SEIRDモデル / 公共財ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(1)縮退型自己駆動粒子におけるパーソナルスペース急縮モデルの検討,(2)大型商業施設における縮退型自己駆動粒子モデルの適用,(3)MASを用いた感染症モデルの構築,(4)公共財ゲームにおけるエージェント行動戦略の進化と評価,に取り組んだ. (1)では,縮退型自己駆動粒子におけるパーソナルスペース急縮確率のモデル化とパラメータを検討した.結果として,パーソナルスペース急縮確率を自己駆動粒子と目標座標までの距離を変数としたシグモイド関数で表現したモデルが実現象を最もよく再現できることが明らかになった. (2)では,(1)のモデルを大型商業施設を模した仮想空間に適用した.これにより,大型商業施設のような非凸空間においては自己駆動粒子に働くSocial Forceが釣り合うことでデッドロックが生じることが課題として挙げられた.これを解決するために,仮想空間内に準目標地を設定した.これにより,デッドロックを大幅に改善することが可能であることを明らかにした. (3)では,MASを用いて市中感染を再現可能な感染症モデルの構築を試みた.これは店内レイアウトシミュレータにより設計されたレイアウトが感染症に対して有効であるかどうかを評価するためのモデルに応用する予定である.ベースとなるSEIRDモデルを構築し,教育機関・企業・飲食などの施設と学生・会社員・主婦/主夫などの市民の特徴づけをそれぞれ行った. 感染症対策は,社会全体の最適行動と個々人における最適行動が必ずしも一致しない公共財ゲームの一種として位置づけることができる.そのため,店内レイアウトシミュレータにおけるエージェント行動設計の一環として(4)を実施した.結果として,協力/非協力行動に報酬/懲罰を与えたエージェントに更に報酬を与えるメタ規範報酬を考慮することでメタ懲罰がなくても協力行動を促進することが可能であることを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,①被験者実験によるパーソナルスペース急縮ルールの抽出とパラメータの同定,②提案モデルを用いた複数障害物の最適設置位置検討,に取り組み,さらにこれを応用して,③商業施設における店内レイアウトシミュレータを構築することを目的としている. 新型コロナウィルス感染拡大の影響で①の被験者実験を実施することができていない.しかし,パーソナルスペース急縮ルールを仮説的にパターン化し実現象再現性を比較することで,ルールとパラメータを同定することができた.また,③のシミュレーションモデルを先んじて実施できていることから,「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたモデルとパラメータを用いて複数障害物の最適設置方法を検討する.避難空間を格子状に区切り,各格子点に障害物を設置するか否かを,流動係数に比例した適応度を定義し,遺伝的アルゴリズムを用いて最適化する. これにより得られた設置レイアウトの効果を検証するために,被験者実験を実施し,得られた障害物設置レイアウトが歩行者の流動係数に及ぼす影響を調査する.これにより,提案モデルの妥当性を検証する.シミュレーションと被験者実験の結果に大きな乖離がある場合は,再度モデルルールおよびパラメータの調整を図る.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,当初予定していた被験者実験を実施できなかったため,計上していた謝金が未使用となった.また,当初予定していた成果発表のための学会がオンライン開催となったため,計上していた旅費が未使用となった.以上の理由により次年度使用額が生じた. 次年度は学会参加および,「今後の研究の推進方策」で示した被験者実験の謝金および計測装置のための物品購入費用に使用する予定である.
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