2022 Fiscal Year Research-status Report
Pedestrian simulator for indoor layout designs aiming at natural dense relaxation
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21K04597
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
伊藤 尚 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 講師 (30635214)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Network Model / Ultra Wide Band / Multi-Agent / Social Force / SEIRD / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(1)NM(Network Model)を用いた大型商業施設における群集歩行シミュレーションの高速化,(2)GA(Genetic Algorithm)を用いた狭小空間での室内レイアウト設計,(3)UWB(Ultra Wide Band)モジュールを用いた屋内位置推定,(4)MAS(Multi-Agent Simulation)を用いた感染症モデルの評価,に取り組んだ. (1)では,これまでに構築した縮退型自己駆動粒子モデルによる大型商業施設における歩行シミュレーションを,NMを用いて高速化することを試みた.結果として,実行速度が従来にものに比べて10倍~30倍となった.また,NMの迂回トポロジーを工夫することで従来のものと同様の振舞いを得られた. (2)では,これまでに構築したSocial Forceモデルを用いた縮退型自己駆動粒子モデルを狭小空間に適用しGAを用いて室内レイアウトを設計した.これにより,従来のレイアウトでは平均流動係数が3.15 person/(m・s)だったものが3.40 person/(m・s)まで向上可能なレイアウトを設計できた. (3)では,屋内歩行実験時の被験者位置取得のためのUWBを用いた推定手法を検討した.UWBモジュールのみでは推定誤差が0.5m程度であるため,パーティクルフィルターを用いて推定誤差を0.3m程度までに抑えた.歩行実験に臨むには更なる精度向上が求められるため,現在はカルマンフィルターの使用を検討している. (4)では,これまでに構築したMASを用いたSEIRD感染症モデルの評価を行った.具体的には,施設数や人口,世帯数などを富山県の統計情報を参考に設定し,パラメータを調整することで富山県のCOVID-19感染状況を再現可能か確認した.結果として,新規感染者のピーク数とピーク日を10%程度の精度で再現できることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,①被験者実験によるパーソナルスペース急縮ルールの抽出とパラメータの同定,②提案モデルを用いた複数障害物の最適設置位置検討,③商業施設における店内レイアウトシミュレータの構築,を目的としている. 新型コロナウイルス感染拡大の影響で①の被験者実験を実施することが出来ていないが,仮説的検証により実現象を再現可能なルールとパラメータを得ることが出来ている.加えて,来年度以降の被験者実験の準備も進めている(研究実績の概要(3)参照).また,②は本年度既に実施し理想的な結果が得られている(研究実績の概要(2)参照).③のベースモデルは既に構築済み(研究実績の概要(1)参照)であるため,「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
狭小空間において,遺伝的アルゴリズムを用いた障害物設置の最適化が可能であることを確認した.しかしながら,ベースとしているSocial Forceモデルはエージェント数の2次のオーダーで演算量が増加するため,シミュレーションおよび最適化に時間がかかるという欠点がある.以上を踏まえ今後は,①シミュレーションの高速化,②商業施設内の歩行者の周遊行動のモデル化に取り組み,最終的に③商業施設を模した仮想空間における店内レイアウトの最適化に挑む. ①では,GPGPUまたはPythonの行列演算を用いてシミュレーションの高速化を試みる.現在はVisual BasicによるCPUベースで演算している.GPGPUまたはPythonの行列演算を用いることで,演算速度が数十倍から数百倍になることが期待される. ②では,ヒトが商業施設内を歩く際の移動経路をモデル化する.特定の施設内において予め目的を持たず,目的地自体を更新しながら歩くさまは周遊または回遊と呼ばれている.これらの動きをモデル化し,商業施設内の歩行者の動きをモデル化する. ③では,②のモデルを用いて商業施設内の商品棚やサイネージ等のレイアウト最適化を試みる.自然に感染症対策が講じられるように,歩行者の一過的な過密を防ぎ,時空間的に分散が可能なレイアウトを目指す.
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Causes of Carryover |
昨年度同様,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,被験者実験を実施しなかったため,計上していた謝金が未使用となった. しかし,被験者実験を実施せずとも実現象を再現可能なパーソナルスペース縮小ルールとパラメータが得られたため,今後も被験者実験を行う予定はない. 今後は,「今後の研究の推進方策」の①で示したシミュレーションの高速化のための機材購入および商業施設内の歩行者の周遊行動のモデル化のための実験費用に予算を使用する予定である.また,これまでと同様に学会や研究会における成果発表の旅費に使用する.
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