2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a Disaster Safety Information Network for Isolated Islands Using Shipboard Base Stations
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21K04598
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN), Oshima College |
Principal Investigator |
浅川 貴史 大島商船高等専門学校, 電子機械工学科, 教授 (80573386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前畑 航平 大島商船高等専門学校, 商船学科, 講師 (10714850)
松原 貴史 大島商船高等専門学校, 電子機械工学科, 准教授 (80881234)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害時情報通信 / 安否情報 / Sub-GHz帯通信 / 船舶基地局 / 離島 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,まずランドマーク方式による中継について検討を行った。瀬戸内海の島々の地形的特徴は,島に一定の標高の山を有している。そのため,アンテナからの電波打ち上げ角度を考慮した場合,必ずしもランドマーク方式が優位であるとは限らないことが予備実験により明らかとなった。 そこで,情島(山口県周防大島町)を実験場所として,ランドマーク方式が使えない場合の運用について検討した。この島は,面積1.0 平方キロメートルの小さな島で,おおよそ30世帯の住居が3箇所に点在している。このような人口の少ない島では,船舶基地局を親局として,沖合を通過しながら直接データ収集,ならびに行政情報を配信する方法を考案し,実証実験にてその有用性を検証した。 実験ために試作した操作端末は,バッテリのみで2週間運用可能で,片手で持ち運びがサイズで,2階の窓程度の高さから通信できるものとする。船舶基地局は,機動性を考慮して本校実習船「すばる」とし,専用のサーバアプリケーションにより情報発信,収集を行った。航路は住居のある3箇所の地点のそれぞれ500, 1000, 1500 m 沖合を低速で移動しながら,行政情報を10秒間隔で発信し,操作端末で液晶ディスプレイに表示する。安否情報は親機からの情報が受信できている時のみ,10秒間隔で送信する。親機と情報端末の通信はメッシュネットワークとなっているおり,マルチホップでの通信も行うことが可能である。 実証実験では,全ての機能が正しく動作することを確認できた。RSSI値は距離に応じた特性となっており, Sub-GHz帯無線が海上無線において優れた特性であるをことを確認した。操作端末での情報表示,ならびに情報入力も問題なく行えることを確認し,携帯性も問題なかった。さらに,操作端末に実装されている音声での通知機能が,高齢者を考えた場合,有用であることの確認も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の新型コロナ感染症による遅れを取り戻し,実証実験により提案システムの有用性を確認できた。特に,実験用試作機を用いることにより,具体的な問題点や成果が明確となった。 本研究は船舶を用いているが,所属機関の設備を活用できたことが,本研究を円滑に実施できた要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度(最終年度)は,これまでの研究のまとめを行う。 これまでの研究では,瀬戸内海の違ったタイプの島を対象に実証実験や視察を行ってきた。まず,面積が大きく人口も多い島として屋代島(山口県),大崎上島(広島県)を対象とした。次に典型的な瀬戸内海の離島として平郡島(山口県),さらに過疎化が進んだ島として情島(山口県)を対象とした。その結果として,災害時情報通信を行う際には,大きく3つの通信形態が有用であることがわかった。まず,市街地が形成されている地域では,役場や集会所などの建物を活用した親局の設置と,マルチホップネットワークが有用である。次に,入江などの集落では地形を利用した高所にランドマーク親局を設置することが有用ある。最後に,住居が点在している場所では船舶基地局を親機として直接情報発信・収集する方法が有用である。これらの研究成果を学会発表し,投稿論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
令和3年度の計画が遅れたため,学会発表が当初予定の令和4年度秋から令和5年度春に遅れたために,次年度に繰り越した。すでに,令和5年度春の学会には予稿原稿の提出,および参加手続きは完了している。
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