2022 Fiscal Year Research-status Report
台風の複合要因と相互影響を考慮したライフラインの被害及び復旧過程予測手法の研究
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21K04599
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
永田 茂 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 災害過程研究部門, 契約研究員 (50217999)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気象災害 / ライフライン / 施設被害 / 機能支障期間 / 被害予測 / 機能支障期間予測 / 相互影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去20年の国内気象災害47事象における電力,上下水道の被害と影響を把握するため,内閣府,経済産業省,厚生労働省,国土交通省,自治体,ライフライン事業者の公開情報をもとに被害発生状況,被害発生原因,機能支障の発生及び復旧日時(機能支障期間),影響戸数などの情報を収集・整理した.被害や影響が発生した自治体数としては,電力は306自治体,上水道は695自治体,下水道は167自治体であり,2019年台風第19号,2018年7月豪雨,2022年台風第14号,2020年7月豪雨などでデータ収集した自治体数が多くなった.これら収集データをもとに気象災害時における電力,上下水道の被害状況ごとの影響である停電日数,断水日数及び下水機能支障日数の基礎的分析を行ったところ,電力の主な被害が配電設備であること,停電の約70%が1日以内であることを確認した.上水道では施設被害も発生しているが停電の影響による断水の発生件数が多いこと,断水の約80%が7日以内であることを確認した.また,下水道の主な被害はポンプ場,処理場の浸水被害であり,機能支障の約80%が5日以内となることなどを確認した. また,電力,上下水道の施設被害及び機能支障の発生状況とその時の気象状況の関係をモデル化するため,降雨状況に関しては気象庁の解析雨量・速報版解析雨量の過去データを用いて被害・影響が発生した自治体の役所位置を含むメッシュの1・3・6・24・48・72時間積算雨量,半減期1.5時間及び72時間実効雨量を整理した.また,風況に関しては気象庁のアメダス(四要素)の過去データを用いて,被害・影響が発生した自治体エリア内のアメダスの最大風速と瞬間最大風速(日単位)を整理した. 上記の被害と影響の分析,被害と影響が発生した際の気象状況(降雨,風の状況)の再現解析結果より,被害と機能支障期間予測の基本モデルを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気象災害時における電力,上下水道の施設被害(物的被害)、機能支障期間の予測モデルの構築に必要となる,電力,上下水道の施設被害(物的被害)の被害発生状況,発生原因,機能支障期間及び被害・機能支障発生時の降雨・風の状況の再現解析に関する検討を完了した. 上記の検討結果より,電力施設の被害と停電の予測では,配電施設の被害に伴う停電発生が主な要因となっていることを踏まえ,主に風況を考慮した被害と停電期間の予測モデルを検討することとした.上水道の被害と断水の予測に関しては,浸水・増水,土砂災害などによる浄水場,送水・配水・給水管路施設,取水施設等の被害とそれに伴う断水が主な要因であることを踏まえて,主に降雨量を考慮すると共に停電の影響を考慮した予測モデルを検討することとした.下水道の被害と機能支障の予測に関しては,浸水などを原因とするポンプ場,処理場等の被害とそれに伴う機能支障が主な要因であることを踏まえて,主に降雨量を考慮した被害・影響の予測モデルを検討することとした.2年目終了時点で,電力・上下水道の被害及び機能支障期間の予測モデルをした.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までに検討した電力,上下水道の施設被害(物的被害予測)及び停電影響を考慮した機能支障期間の予測手法の基本モデルに基づいて具体的な数理モデルのブラッシュアップを進める.構築した電力,上下水道の施設被害手法、機能支障期間の予測モデルを用いて,過去の気象災害及び令和5年度中に発生する気象災害において電力,上下水道施設の被害及び機能支障期間の再現解析を行い、実被害との比較検討によって予測手法の課題抽出を行う. また,他の研究者と連携することで,気象災害時の防住民や企業の対応行動を促すために活用が進められているタイムラインにおいて上記の予測結果を活用を検討する.また,研究成果を国内外で広く公表することで関連する研究者,自治体,ライフライン事業者などに対して研究成果の展開を行う.
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