2022 Fiscal Year Research-status Report
根系の発達動態と立木による流木被害軽減機能の実証的解明
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21K04601
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
岡田 康彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50360376)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立木 / 根系 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規植栽後の樹木の生長に伴う斜面補強機能の増大に関する特性を把握することを目的に、ケヤキ、センダン、ヤマハンノキの1年間の樹高生長および地際直径を追跡した。その結果、双方に関してケヤキ、ヤマハンノキ、センダンの順に大きくなることが示され、根系の発達に伴う斜面崩壊防止機能についても同様の特性を有すると推定される結果が得られた。 具体的には、2020年に、ケヤキ、センダン、ヤマハンノキの1,2,3年生苗を植栽した後、2021年の12月および2022年の12月に樹高ならびに地際直径の計測を行って、その間の生長を調べた。樹高差については、苗齢によらず概ね樹種ごとに一定に近い値が計測されたものの、最も生長したセンダンが200cmを超えるのに対し、最小のケヤキでは120cm程度と相当程度の差違があることが明らかになった。他方、地際直径差については、ケヤキ、ヤマハンノキ、センダンの順に大きくなることは樹高差と同じであったものの、ケヤキが苗齢によらず1.7cmでほぼ一定値を示したのに対し、センダン、ヤマハンノキについては苗齢に比例して増加したことがわかった。樹木の根系がその発生を防止している表層崩壊を対象にした場合、樹木を伐採して新規に植栽したあと5~10年程度の期間に最もリスクが高まると推定されている。このことと照らし合わし、この期間のリスクを如何に低減するのかという森林管理に向けた基礎データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
森林が有する表層崩壊防止機能の高度発揮を考えた場合、スギやヒノキの人工林に加えて、生長速度の大きな樹種の特性を把握して、それらを活かした森林管理を実施することが肝要となる。これまで未解明のままとなっていたケヤキ、センダン、ヤマハンノキに関して、同じ条件下での苗木からの生長について計測された結果は、有効かつ効率的な森林管理計画を策定するとともに森林施業を実施していくうえで重要な基盤的データと位置づけることができ、研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
ケヤキ、センダン、ヤマハンノキの生長を引き続き継続して観察し、その動態の詳細を明らかにする。これら3樹種の特性を把握するほか人工林の特性との比較検討も行うとともに、森林根系が表層の崩壊を防止する機能を数値的に評価する手法の検討を進め、林分構造の変化を導入した斜面危険度の評価技術開発を推進する。
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Causes of Carryover |
研究は全体として概ね順調に進展してきている。予定していた学会発表について対面開催が無くなりオンラインのみへの変更がなされるとともに、災害発生現場での現地調査に関して新型コロナ感染者の急激な上昇を受けて自粛したことに伴って、次年度使用額が生じた。この繰り越し金額は、令和5年度において学会等で積極的に情報発信するとともに、現地での実態把握調査のために使用することとして研究を推進する。
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Research Products
(5 results)