2021 Fiscal Year Research-status Report
In-situ real-time Helium monitoring against abrupt volcanism
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21K04602
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
熊谷 英憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), グループリーダー (10344285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬年 一剛 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 主任研究員 (70416080)
清水 家齊 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), 技術スタッフ (80827387) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リアルタイムモニタリング / 火山ガス / ヘリウム / ガラス透過性試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染拡大の状況を注視しながら、箱根火山大涌谷付近を研究組織で調査した。機材試験を当初計画していた大涌谷内部の噴気地帯は、電源確保が非常に困難であったほか、腐食性の強い硫化水素ガスの噴出、硫黄の降下堆積が続いているなど、当面の試験には不適切であることが判明した。一方、最終的な実地観測予定地である大涌谷の風向データは既に蓄積されているうえに、一般的な火山ガス種も東海大学等によって既に観測の実績がある。このため、電源の確保が容易な大涌谷駐車場近隣建屋ドライエリアを当初の試験観測地にあらためて選定した。この付近においてさえ、確保できる電源容量には厳しい制限があるため、観測時の電源が少なくて済むように機材内を最初に排気するポンプと観測時に機材内の真空を維持するポンプを別々にわけ、消費電力の小さいポンプのみで観測に供することができるよう機材設計を変更し、変更後の設計に基づいた機材調達を開始した。 また、本研究計画について、2021年10月開催の日本火山学会2021年秋季大会で口頭発表し、火山防災コミュニティからの研究計画への改善意見を得た。この発表は研究者以外からも広く関心を得ることができ、火山のモニタリングセッションでの報告を特集する海洋出版株式会社が発行する月刊誌である月刊地球の令和4年(2022年)7月号に寄稿を依頼され、令和3年(2021年)の進捗、計画の修正点を反映した報文を提出、公表の運びとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度(1年目:令和3年度)は、実験室内での機材の試験と観測システム構築、観測地選定のための予備調査を行うこととしていた。 このうち、観測システム構築では、全世界的な新型コロナウィルス感染爆発による半導体等研究資材の供給ひっ迫により機材の納入、特に、観測中に装置内の真空を維持するイオンポンプ電源の納入が遅れている。一方、この間の実験室内での機材試験として、本研究開発の要であるガラス窓によるヘリウム単離部分の性能確認を行ってきた。これにより、窓部環境温度に依存する透過量の違いについての基礎データを取得した。 観測地の選定のための予備調査はに際しては、大涌谷内の噴気の流れについては、他機関の観測等により知見が充分に蓄積されてきており、本課題での遠望風向観測の必要性が低まったことにより、機材くみ上げ後ただちに試験観測に移行できる目処がたった。 以上により、進捗の凸凹はあるものの、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目である2022年度(令和4年度)は、機材を展開し観測を開始する計画であるが、大涌谷内での設置適地の探索過程は省略することができ、耐久性等の性能試験を兼ねた近隣建屋ドライエリアでの観測から開始できることになったので、機材をくみ上げた後は、季節にかかわらない観測の開始が可能となるという観測計画の柔軟性を得ることができている。これにより、当初計画で目指した、研究期間内での構築した機材による観測機材・観測手法の妥当性・有効性・耐久性の評価まで十分に到達できると判断している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスパンデミックにより半導体等の供給ひっ迫が生じ、観測装置の動作時に検出器部の真空を維持するためのイオンポンプの電源の納入が遅れた(執行済み繰越として納入次第支出される)。このため、耐食性容器内での機材配置が定まらず、配管部品の調達も遅れることとなった。
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