2021 Fiscal Year Research-status Report
近年頻発する大規模土砂生産イベント後の土砂動態と河道安定化機構の解明
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21K04610
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
清水 收 宮崎大学, 農学部, 教授 (20178966)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土砂堆積 / 河床洗掘 / 河床変動 / 水路形状 / 粗粒化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,これまで17年間(2003年~2020年)実施してきた調査流域での測量調査を引き続き実施する予定であった。例年どおり,大学の授業がない夏休み期間中で2週間の長期出張が可能な9月前半に現地調査へ行く準備をしていたところ,出発直前の8月下旬にコロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言が北海道に出されたため,現地調査を中止せざるを得なかった。このため,2021年度は新しいデータを取得することができず,研究を進展させることができなかった。 そこで,これまでに蓄積したデータにおいて,主要な土砂移動発生年の大雨イベントを精査した。その結果,大規模な河床土砂堆積が発生した2回の大雨イベントは累加雨量が多く,降雨強度の大きい雨が6時間程度継続する点で特徴づけられた。それらに次ぐ,中規模な河床土砂堆積が発生した大雨イベントは,累加雨量が上記イベントよりも少なく,降雨強度の大きい雨が4時間程度継続するものであった。これらより,河床堆積土砂の供給源と考えられる斜面崩壊の集中発生等の土砂生産現象は,その規模が大雨イベントの規模と調和的であることが分かった。 一方,土砂が堆積したイベント年以降の,河床土砂が洗掘していく期間に関しては,各年の最大降雨を抽出してそれらを相互に比較してみると,洗掘土砂量の多かった年は6時間程度の合計雨量が多い,という特徴が分かった。その6時間雨量の大きいケースの中には,かなり強い1時間雨量+強くない1時間雨量が数時間というパターンと,ある程度の強さの1時間雨量が6時間連続というパターンがあった。これらについて,洗掘の起こりやすさの面から,降雨時間分布のパターンを今後検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述のとおり,2021年度はコロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言が8月下旬に発出されたため,その時期に予定していた現地調査が実施できなかったのが理由である。現地調査には2週間が必要で,研究者である大学教員にとっても,調査補助を行う大学生にとっても,現地調査に長期間出かけるチャンスは夏休み中に限られる。9月後半以降に,短期間ずつ複数回に分けて現地調査に出かける可能性も検討したが,コロナ感染状況の見通しが立たないこともあり,それも断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,4月以降,コロナ感染症に伴う社会活動の制限が緩和されており,当初計画のとおり測量の現地調査を行う予定である。また,夏前から現地にタイムラプスカメラを設置して渓流の流量変化の簡易モニタリングを行い,降雨規模と渓流流出規模との概略の関係を把握することにしている。さらに,2022年度は本研究計画の一部を2名の卒業論文研究テーマにして,研究を加速させる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,コロナ感染拡大による緊急事態宣言の発出のため,現地調査に行けなかったためである。そして,その使用計画としては,2022年度に短期の現地調査に頻繁に行くこととしている。
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