2022 Fiscal Year Research-status Report
近年頻発する大規模土砂生産イベント後の土砂動態と河道安定化機構の解明
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21K04610
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
清水 收 宮崎大学, 農学部, 教授 (20178966)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土砂堆積 / 河床洗掘 / 河床変動 / 河床上昇 / 河床低下 / 粗粒化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は河床変動を把握する測量調査を行った。前回の測量結果との比較から,洗掘と堆積の両方が生じた河床変動の発生が確認された。今回の河床変動の発生は,洗掘を主とした河床変動が発生した2018年以来のことで,2018年から今回までの期間には河床変動はほとんど止まっていた。また,堆積も含む河床変動が発生したという点では,大雨に伴う2016年の河床変動イベント以来のことである。以上の経緯は,次のようにまとめられる。2016年の大雨で土砂堆積が起こり,その後2018年まで洗掘が続いて,以降は河床変動が止まっていた。そして,2022年に再び河床変動が発生した。今回の河床変動は上流側に洗掘区間,下流側に堆積区間が出現していることから,上流で洗掘された土砂が下流に堆積したと考えられ,その洗掘から堆積までの区間長(土砂移動距離と想定)は300m程度であった。 さらに,2003年から2022年までの19年間の河床変動の時系列変化を,調査流域の一つパラダイ川で詳しく分析した。上流区間は,2003年の土砂堆積後,2005年まで洗掘が続き,2006年大雨でさらに大きな洗掘が発生した。これ以降,2016年と2022年の中規模降雨時にのみ河床変動が発生し,他の年には変動が発生しない。この制御要因は,2003年の堆積土砂が2006年大雨までの3年間でほぼ洗掘され尽くしたことである。中流区間は,2003年の土砂堆積後,2005年まで小洗掘と小堆積が続き,2006年に再び土砂堆積した後,2007年や2008年から洗掘が始まり,2011年や2014年まで洗掘が続いた。この制御要因は,2006年までは上流区間で洗掘が続いたため,中流区間はその土砂流入の影響により洗掘が本格化せず,上流の影響が無くなった2007年から洗掘が始まって,4~6年間で洗掘が停止した。下流区間は土砂堆積後,1~2年間で洗掘が停止した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査流域の一つでは,おおむね分析が済んでおり,論文作成に進むところである。もう一つの調査流域は,今年度中に詳しい分析を始めて,来年にかけて作業を続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,河床変動の現地測量調査を実施する予定である。また,分析の終わった部分から順次,論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,2021年度にコロナ感染拡大による現地調査の取り止めで,大きな金額の残が生じたためである。2022年度には通常の研究活動ができたため,当年分にあたる単年度分の直接経費をほぼ全額を使用したが,2021年度に未使用であった金額がなおも残り,今回の次年度使用額となった。その使用計画としては,2023年度の現地調査や論文作成に使用する予定である。
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