2023 Fiscal Year Annual Research Report
多角的な監視による富士山の噴火予測精度高度化の研究
Project/Area Number |
21K04613
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
長尾 年恭 東海大学, 海洋研究所, 研究員 (20183890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨川 仁 静岡県立大学, その他部局等, 特任教授 (00329111)
楠城 一嘉 静岡県立大学, その他部局等, 特任教授 (10549504)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 教授 (70242154)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 富士山 / 噴火予測 / 地磁気観測 / 情報処理 / 火山性地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
1707年の噴火から300年以上沈黙を保っている富士山が将来噴火するというのは、ほとんどの火山学者の共通認識である。そのため、地震観測や山体膨張を捉える地殻変動観測はすでに複数の機関で実施されている。それに対し、火山監視手法のうちの電磁気学的手法については、2024年3月時点では山梨県側で東京大学地震研究所が1地点、静岡県側で東海大学が1点実施しているのみである。 本科研費では、マグマの上昇を熱消磁という物理現象を用いて監視する全磁力観測を通じて噴火予知の精度向上に資するものである。 当初計画では、山頂付近に通年観測が可能な全磁力観測点を設置する方針であったが、研究計画初年度はコロナの蔓延により山頂への立ち入りが全面禁止されるという事態が発生した。そのため、静岡県側新五合目・太郎坊に設置した全磁力観測点周辺の環境調査を実施した。2年目の2022年度は山頂から宝永火口まで徒歩で電磁環境調査を行い、観測点候補地として七合八尺付近に観測点候補地が存在する事を確認するととともに、微小な全磁力異常を抽出するための主成分解析および独立成分解析を可能とするシステムをUNIX上で構築した。また火山性低周波地震を効率的に抽出するために、マッチドフィルタを気象庁データに適用し、気象庁で報告されているより、およそ3倍の数の火山性低周波地震が山梨県側山腹で発生している事を突き止めた。 3年目の2023年度は、マグマ上昇に関するモデル計算を行い、現在、火山性地震が発生している領域から真上にマグマが上昇するケースと、山頂火口に向けて上昇するケースを計算し、いずれの場合も静岡県側五合目付近で十分にマグマ上昇による全磁力変化を捉えられる事が判明した。
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