2021 Fiscal Year Research-status Report
点検技術者の視点に基づいた土砂災害発生のリスク評価手法の開発
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21K04616
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 丈晴 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (60335768)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リスク評価 / 土砂災害 / 深層学習 / 傾斜量 / ラプラシアン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に上げていた微地形要因の抽出および組合せ検討において、令和2年度半ばから検討を開始した。また、AIの解析モデルの構築環境を整えた。令和2年冬にAI構築環境について、フリーでAIを構築できるシステムを知り、本解析に使用する航空レーザー測量データを適用させたところ、好適に処理できることを確認した。これによって、当初計画していたAI構築に関する期間と費用を大幅に削減することができた。 この結果を受けて、まず従来から使用していた微地形要因の組み合わせを用いた3次元地形モデルを構築して、AIに入力できるデータセットを作成し、グリッドごとのリスク評価を行った。その結果、研究目的、研究方法で提示した「土砂災害の発生に寄与する微地形要因の使用による評価」「定量的な評価」「画像を用いない評価」ができた。令和3年度は、ほぼすべての学会発表が中止となったため、学会発表の予定から、学会誌への査読付き論文の執筆に変更して投稿し、掲載された。【佐藤丈晴:深層学習による近傍の地形的特性を考慮した土砂災害リスク評価,砂防学会誌,Vol.74,No.2,pp.3-12,2021.7】秋の応用地質学会で学会発表を行い、諸先生方からご意見を頂き、今後の課題とした。【佐藤丈晴:深層学習による細密DEMごとの崩壊リスク評価,令和3年度 応用地質学会中国四国支部 研究発表会,p.49-52】 一方、査読論文の整理中に新たな課題が見えてきた。この課題を改善するために、研究対象流域の数を10倍に増やし、複数渓流の地形を活用した入力データを作成する方法を考案した。この方法により、大幅な精度の向上を達成することができ、2本目の査読付き論文を執筆した。令和4年夏に掲載予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AI構築環境を新たに発見したことから、AI開発におけるコストと期間を大幅に削減できた。期間面においては、AI構築に要すると事前に考えていた2年分のスピードアップを図ることができた。コスト面においても開発費用を解析用のパソコンを購入することで、並行して解析することができ、解析期間の短縮にもつながっている。 また、当初考えていた地形モデルでかなりの精度を達成できたことから、すぐに学会誌への論文投稿につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、学会誌に提案した手法を他地域で検証することが本年度の目標となる。 上記したとおり、新たな課題が見えてきた。微地形要因を算出することが大幅な精度向上ができることを確認したが、計算量やデータ量が大幅に増えるという課題が生じた。この微地形要因を元のデジタルデータで表現できたとしたら、幅広く活用できる技術になると考えている。この視点からの検討を考えている。 さらに、AI入力時に周辺グリッドの位置情報を除いた入力データを用いたが、もし位置情報を活用できる入力データ形式を開発できれば、さらに精度の向上を図ることが可能となる。 この2点について追加で今後検討を重ねたい。
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