2021 Fiscal Year Research-status Report
土石流とともに流下する流木の折損メカニズムの解明と流木長の評価手法の確立
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21K04618
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
永野 博之 群馬工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (20595425)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流木 / 折損 / 土石流 / 豪雨災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案する任意地点での流木長評価手法は,既往災害資料の分析結果と水理実験結果との比較検証が重要となる.本年度は,次年度以降の基礎資料となる既往災害資料の解析と次年度に予定される水路実験の実施に向けた試料の準備を行った. 既往災害資料の解析については,2017年九州北部豪雨において土石流とともに流木流出が確認された白木谷川流域を対象に,国土地理院により撮影された災害直後の空中写真(1200dpi)をGIS上に配置した.配置した空中写真上で,対象流域内における倒れている木を目視により,手作業でトレースし,デジタルデータを作成した.トレースした各デジタルデータについて,木の長さ,平面上での角度,樹冠の有無,枝の有無を属性情報として入力し,それらの情報を分析した.その結果,木の長さは,流域上流部よりも流域下流部の方が短くなる傾向にあった.また,枝付きと判定されたものは少なく,樹冠有りと判定されたものは,白木谷川河道内よりも斜面と思われる箇所に多く,角度は白木谷川の流下方向と平行ではない傾向にあった.また,多数の木が群を形成して集積している箇所では,複雑に木が積み重なっており,木の角度が流下方向に沿うものと沿わないものが入り混じっていた.そのような群は流下痕跡の弯曲部に相当するところに位置していた.幹の直径と根部の有無についても判別を試みたが,両者とも空中写真からの判別は困難であった.水路実験で用いる試料の準備については,長さ30cm,直径2mmおよび3mmの南洋材丸棒を素材とする試料各200本について,実験時に折損した試料の対応付けが可能となるようナンバリングを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍での活動時間の制約により,当初予定していた河道形状と流木長との関係性との評価が基本的なものにとどまっている.しかしながら,統計解析に必要なデータ作成済みであり,また,実験の準備は概ね予定通りに進んでいることから,進捗状況はやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に作成したデータに基づいた河道形状と流木長との関係性の評価を実施する.また,水理実験を実施し,一定勾配の直線河道を流下する土石流による立木折損プロセスについて調べ,得られた結果より,折損する立木本数の割合と流木長との関係について検討する.
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Causes of Carryover |
端数残額であり,物品費等に充当する.
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