2023 Fiscal Year Research-status Report
土石流とともに流下する流木の折損メカニズムの解明と流木長の評価手法の確立
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21K04618
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
永野 博之 群馬工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (20595425)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流木 / 土石流 / 豪雨災害 / 水理実験 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,既往災害資料の追加分析と水路実験を実施した. 災害資料分析では, 2017年白木谷川流域における流木の堆積形態について,前年度に実施した地形的要因による検討を発展させ,土石流による土砂・洪水氾濫解析を実施し,氾濫流の挙動との関係性について分析を行った.流路付近に堆積する流木については,概ね流向に沿うように堆積する結果を得た. 水路実験は,立木模型に土石流が衝突した際の折損についての実験と,流木化した模型の落差地点での挙動について実験を行った.立木模型実験では,長さ30cm,直径2mmあるいは3mmの南洋材丸棒よりなる立木模型50本を幅40cm,延長400cm,勾配15度の直線水路内に,幅30cm,長さ90cmの範囲内で千鳥状に配置した.水路内に直径15mmのガラス玉あるいは平均粒径14.6mmの砕石を,5cmの厚さで立木模型群の上流側に250cmの長さ敷き詰め,一定量の清水を供給して発生させた土石流を立木模型群に衝突させた.本年度は立木模型の折損に特に着目するため,立木模型の根返りを防ぐよう立木模型を挿した基盤の表面はパラフィンで固定した.実験より,立木模型の折損はほぼ基盤表面で発生しており,折損は流動深が増加する過程で最大流動深に近い流動深で発生する結果を得た.落差を設けた実験は,同水路で下流端より140cm地点に15cmの落差が生じるようにモルタル製の台を設置し,台より上流側に150cmの範囲で直径15mmのガラス玉を4cm厚で敷き詰めた.台の上流側120cmと150cm地点が両端となるようガラス玉上に長さ30cm,直径2mmの流木模型を敷設した.横断方向には,水路側壁より1cm離れた位置から2cm間隔で計19本敷設した.一定量の清水を供給して流木を伴った土石流を発生させ,落差地点の流木模型挙動を観察した.実験の結果,落差地点での折損は確認できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既往災害資料分析については概ね順調に推移したものの,水理実験において追加実験が必要であることから,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
立木模型実験については,樹木軍の配置範囲,密集度と流木供給条件を変化させたケースを追加し,本年度に得た知見の普遍性を確認する.また,落差実験については,落差と流木模型長との相対長さを変化させた実験を実施する.それらの結果を踏まえ,数値解析モデルを作成し,資料分析結果と比較した上で,本研究のとりまとめを行う.
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Causes of Carryover |
端数残額であり,次年度の物品費等に充当する.
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