2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanism of segregation of solute atom to dislocations
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21K04623
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 耕治 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50344718)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 3次元アトムプローブ / 溶質原子の偏析 |
Outline of Annual Research Achievements |
転位線への溶質原子の偏析(所謂、コットレル雰囲気)の詳細について、透過型電子顕微鏡観察と3次元アトムプローブ分析を同一の転位に対して行い、透過型電子顕微鏡観察で転位構造を決定し、透過型電子顕微鏡で観察した転位における溶質原子の3次元元素分布を3次元アトムプローブ測定で得る。そして、転位構造と溶質原子の分布の対応を見ることで、転位-溶質原子相互作用の起源として、弾性応力場と化学的相互作用のどちらの影響が大きいのかを明らかにする。 3次元アトムプローブの測定領域は、針の直径が最大でも100nmで、針の長手方向には数百nm程度の領域であり、例えば転位周囲の元素分布を取得する場合、その狭い針状領域の中に転位を含める必要がある。集束イオンビーム加工装置に具備する走査電子顕微鏡では転位観察は困難であるため、集束イオンビーム加工によって針試料を作製してから透過型電子顕微鏡観察を行い、針試料内での転位線の位置を確認する必要がある。転位線が針先数百nm以内に存在しない場合には、再度、集束イオンビーム加工装置を用いて追加工を行う。この作業工程を繰り返すことで、観察したい転位を針先端へ持ってくる。 上記で述べた方法により、針先端に転位を含む試料を作製し、透過型電子顕微鏡観察で針先端の転位構造を決定し、透過型電子顕微鏡で観察した転位における溶質原子の3次元元素分布を3次元アトムプローブで得る。3次元アトムプローブ測定では針試料が電界応力で破壊する可能性が高く、転位線におけるC分布を取得する前に試料が破壊することが頻発することが予想されるため、何度も繰り返し行うことでデータを取得する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鉄鋼材料において、集束イオンビーム加工装置を用いて、針試料を作製し、透過型電子顕微鏡観察を行い、針試料内での転位線の位置を確認し、転位線が針先数百nm以内に存在しない場合には、再度、集束イオンビーム加工装置を用いて追加工し、転位線が針先に含まれるようにした。その後3次元アトムプローブ測定を行ったが、電界応力により針試料が壊れてしまった。 また、ハイエントロピー合金においても試しに試料作製して、転位線が針先に含まれることを確認してから3次元アトムプローブ測定をしてみたが、こちらは測定できたものの、転位線への偏析は確認できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元アトムプローブ測定で転位線領域の測定が終わる前に針試料が壊れてしまう問題を解決する必要がある。今まで以上に、針先へ転位線を持ってくる必要がある。しかし、針先すぎると、それだけ領域が狭くなるので、転位線を含めるのが難しくなる。さらに、鏡像力によって表面に転位が逃げてなくなってしまう可能性もある。そのため、最適な深さ領域を見極める必要がある。これは何回か試して、最適な領域を探す予定である。さらに、針形状を工夫するなどして対応できないか検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ渦のため、情報収集などが思うように行えなかったため、次年度使用額が生じた。 今後、コロナの状況が改善すると期待されるため、今年は昨年の分まで加速して研究を進める。
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Research Products
(1 results)