2023 Fiscal Year Annual Research Report
一軸異方性を有する金属強磁性体の有限温度磁気特性に関する理論研究
Project/Area Number |
21K04624
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
三浦 大介 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90708455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遍歴電子磁性 / 結晶磁気異方性 / 有限温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
強磁性金属の物性は電子が結晶内を遍歴することに起因した特徴が顕著に現れるため,その物性理論はバンド理論を前提として構築される必要がある.このことは,本系の有限温度磁気特性を局在スピン描像で議論してはいけないことを示唆しており,その理論的枠組みは,温度上昇によって生じる電子のスピン揺らぎの効果と,その結果形成されるバンド構造が互いに適合するよう配慮されたものでなければならない.加えて,単に式を書き下しただけの形式論ではなく,現実的な計算機負荷の範囲で結果が出るような高い実行性をも求められる.このような要求の下,我々はDLM (disordered local moment) 描像で有限温度磁気特性を捉えることとし,CPA (coherent potential approximation) を利用することで高度な実行可能性を確保し,研究を推進してきた. 本研究では以下の成果が得られた.(1) 一軸磁気異方性を示す遍歴電子系の単純模型において,縦帯磁率や横帯磁率,磁化Mなどの物性値を有限温度で同時に記述し,Curie-Weiss則が再現されることや,現実的なCurie温度の値が得られることを示した.(2) Ku (一軸磁気異方性定数) を有限温度で記述し,ある極限において Ku∝M^2 という温度依存性が得られることを示した.また,Ku∝M^αとおいたとき,模型パラメータを慎重に設定することによりαの値が3を超えるような例も作れることを示した (α=3は一軸磁気異方性を持つ局在スピン系が示す典型的な値であるが,この値を超えていくという部分に遍歴スピン磁性が示す磁気異方性の多様性が現れている).(3) 以上の数値計算をゼロ磁場において実行するための枠組みを構築した.
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Research Products
(1 results)