2023 Fiscal Year Annual Research Report
高電荷密度マイカの六角スペースのサイズ制御によるイオン交換特性の向上
Project/Area Number |
21K04640
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樽田 誠一 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00217209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高電荷密度マイカ / 四ケイ素型マイカ / 同形置換 / 構造解析 / イオン交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
①Na-4-マイカおよびNa-4-TA2の同形置換体の精査: Na-4-マイカおよびその同形置換体について、Al3+,Ga3+およびNa+イオンの位置を検討した。その結果、Al3+イオンの極一部は本来配置されない八面体位置にも配置していることが見出されたが、同様のGa3+イオンについてはその証拠が見いだされなかった。層間では、SiをすべてGeに置換すると、底面酸素と結合したNa+イオンが現れ、Ga置換では非対称で不安定Na+イオンが現れることが推測された。一方、昨年度、四面体位置と八面体位置の同時同形置換したNa-4-TA2を精査した結果、水溶性のNa化合物が含まれていることが判明した。構造解析の結果、Na+イオンは八面体位置にも配置されている可能性も示唆されたが層電荷の低下も示唆された。 ②Na-4-マイカ,Na-4-TA2およびそれら同形置換体のイオン交換: Na-4-マイカおよびその同形置換体はCs+イオンとはほとんどイオン交換されなかった。一方、Sr2+イオンとのイオン交換では、Ga置換体で層間の非対称で不安定Na+イオンが増加するとイオン交換量が増加し、Ge置換体で底面酸素と結合していると考えられるNa+イオンが現れるとイオン交換量は減少する傾向であった。また、Na-4-TA2を含む四ケイ素型マイカをCs+イオン交換すると、Cs+イオンが吸着するもののマイカ自身が変質した。 ③研究期間全体での研究成果: 新規高電荷密度マイカNa-4-TAnの合成方法を確立した。また、高電荷密度マイカの四面体位置を大きなイオンで置換すると、格子定数は大きくなるが、六角スペースは縮小した。六角スペースが縮小すると層間イオンのNa+イオンはその中に入りにくくなった。Sr2+イオン交換では、層間のNa+イオンの位置によってイオン交換量が変わることが明らかになった。
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