2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of reactive force-field and molecular dynamics simulation of electrode-electrolyte interfaces
Project/Area Number |
21K04650
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70560126)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蓄電材料 / 分子動力学 / 反応力場 / 電極電解質界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,全固体電池の性能を左右する電極・電解質界面におけるミクロな反応機構を明らかにするため,分子動力学シミュレーション(MD)の中で化学反応を再現可能な原子間力場を効率的に構築する手法およびプログラムを開発する.開発した手法を用いてLi金属とNASICON型固体電解質の界面のシミュレーションを可能とする力場を構築し,電極・電解質 界面のMDシミュレーションを行い,ナノスケールの観点から界面構造変化やイオン伝導機構をより深く理解できる方法論を確立することを目的とする. 前年までに開発した電荷可変型クーロンポテンシャルと環境依存型のMEAMポテンシャルのプログラムに加え,パラメータ最適化プログラムを汎用化し,MDプログラムで計算可能なあらゆる物理量に対してパラメータを最適化することを可能にし,独立したプログラムとして公開した. 近年注目を集めているLi/LLZO系を対象とし,二体・三体分布関数や形成エンタルピーに対してポテンシャルパラメータを最適化し,Li/LLZO系ポテンシャルを構築し,現在ポテンシャルの精度検証を行っている. 一方,化学反応を伴う種々の電極・電解質界面系に適応可能なことを検証するため,Li/LiF系界面のポテンシャル構築も行った.LiFは電子伝導・イオン伝導ともに低い材料だが,Li金属のデンドライト形成を抑制するためのコート材として有望視されている材料であり,Li/LiF界面がどのような構造になっていてイオン伝導性が発現するか調べる必要がある.Li/LiF系に関しても,各組成・構造における二体・三体分布関数と多くの組成におけるエンタルピー差を教師データとしてパラメータ最適化を行い,ポテンシャル構築を行った.界面における電荷分布を再現することを確認し,いくつかの界面モデルにおける構造の再現性などの検証を行い,ポテンシャルの精度検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究スタート時に研究を次のように3段階に分けた.(1)反応力場の関数選定および力場プログラム構築,力場パラメータ最適化プログラムの拡張を行い,反応力 場のパラメータ最適化を可能にする.(2)力場構築手順および構築された力場の精度を検証する.(3)構築した反応力場を用いた電極・電解質界面の分子動力学シミュレーションを行い,着目するいくつかの反応機構の解明を目指す. 初年度において反応力場選定およびプログラム構築などを行い,二年目の今年度に構築されたいくつかの力場の精度検証を行ってきた. Li/LLZO系ポテンシャルの構築は,扱う元素種が多い(4元系)ためにパラメータ数・教師データ数が多く,想定以上に最適化フェーズに時間を要した.また,得られるポテンシャルにばらつきが大きいためにポテンシャル構築手順と構築されたポテンシャルの精度の間に制限性が得にくいという問題が生じたため,想定より進捗が遅れている. そのため,元素数の少ないLi/LiF系でのポテンシャル構築および精度検証を行う方針転換をし,データ収集・パラメータ最適化および精度検証を行った.二元系精度検証過程においていくつかのパラメータの値のポテンシャル精度への敏感さなどの知見を得ることができ,その知見をもとに,必要な教師データ,パラメータ最適化手順などをシステム化することができてきている.Li/LiF二元系における精度検証を通して,界面における電荷変化や異元素間結合の強さは妥当だが,電荷変化が同元素間の結合に与える影響を考慮することが難しいことが分かっており,対策が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の(2)段階目の,力場構築および構築された力場の精度検証を行っていく. 最も単純な反応力場である二元系の中でLi-F系に加えてLi-O系を対象とし,必要な教師データおよびパラメータ最適化手順に関する整理を行い,よりシステマチックにポテンシャル構築を行えるようにする.構築したポテンシャルにおいてLi/LiFのような反応界面系モデルを用い,電荷変化に伴う同種元素間の結合の変化について改善の検討を行う.例えば以下のような対策を検討している.(1)電荷可変型Coulombポテンシャルモデルに近接元素との間の電荷移動に限定する仮定を導入して,無限遠元素との間の電荷移動を抑制することでLi金属内にわずかに電荷が残ってLi-Li間の相互作用を阻害する問題を回避する.(2)Li単体系の最適化に際してもLi/LiF界面における電荷移動を加味した教師データを含むようにすることで,界面における電荷によるLi-Li相互作用のスクリーニングを考慮したLi元素間ポテンシャルパラメータを得る. Li/LiFやLi/LiOなどのより単純な二元系でのポテンシャル構築と精度検証を行い,上記対策によって課題を克服した後,それらの系における界面安定原子構造,界面における第2相の発生の可能性,異なる界面におけるLiイオン伝導抵抗の差異を検討していく.
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Research Products
(7 results)