2022 Fiscal Year Research-status Report
ラマン散乱によるBi,Naの揮発を抑制したチタン酸ビスマスナトリウムの構造と機能
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21K04651
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤森 宏高 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00301309)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チタン酸ビスマスナトリウム / ラマン / 強誘電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Na0.5Bi0.5TiO3 (NBT)の従来から行われてきた固相反応法による合成では1120℃以上の高温で長時間焼成を必要とするためにNaとBiが揮発し、仕込み組成から実際の組成がずれてしまう。NBT中のNaとBiが欠損することにより、正しい評価が行われていない。そこで本研究課題では、以下の課題に取り組むことを計画している。錯体重合法を用いた低温合成により、無欠損のNBTの合成を行い、リートベルト解析によりK, Ca, Sr置換、Zr, Ce置換におけるモルフォトロピック相境界(MPB)の再評価を行う。さらに顕微ラマンを用いた偏光測定による2相共存下における両相のドメインの観察にも挑戦する。これらを通じMPBが出現する組成では、なぜ電気的特性が2~3倍以上に向上するのか、その根本的な要因は何なのかという理由に迫りたい。 令和4年度は、当初の計画に従い「K, Ca置換NBTの合成」、「Ce置換NBTの合成」、「リートベルト解析」、「電気的性質の測定」、「ラマン散乱によるドメインの観察」、「TEM」の項目を実施した。「NaNbO3置換の合成」も加えて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、当初の計画に従い実施できたので、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は試料の合成が主であったが、令和4年度は分析を含めて、3年間の研究計画の全ての項目を、とりあえず実施できた。実施した結果、それぞれの実施項目における問題点が明確となった。最終年度の令和5年度は、それらの問題点を克服して、完成させる年度となる。
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Causes of Carryover |
低温ラマンにおいて、試料室内の温度を均等化し温度分布を減らす目的で、真空系を導入しようと考えていたが、研究に用いる物品の多くが、ことごとく予想以上の物価高騰に見舞われ、真空系の購入は断念せざるを得なかった。その結果、次年度使用額が生じてしまった。次年度予算と合算することにより、真空系は是非とも導入し、実験精度を高めて行きたいと考えている。
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