2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on growth control and mechanical properties of fullerene nanowhiskers
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21K04654
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
橘 勝 横浜市立大学, 理学部, 教授 (80236546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 凌 横浜市立大学, 理学部, 助教 (70846708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フラーレン / 結晶成長 / 力学的性質 / 分子結晶 / 弾性 / 硬さ / ウィスカー / 電界効果トランジスター |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はフラーレンC60およびC70に対して種々の良溶媒を用いることによって液ー液界面析出(LLIP)法によるナノウィスカーの育成と力学的性質を調べた。 C70ナノウイスカーに関しては、成長制御によって育成された比較的太いナノウイスカーの特徴を活かして、力学特性だけでなく電界効果トランジスター(FET)の作製および電気特性の測定に成功した。C70単結晶を用いたFET特性の測定は今回が世界ではじめての観測となった。しかし、測定結果は期待されるほど高い移動度が観察されなかった。これは今回の測定ではボトムコンタクト型のFETデバイスを用いており、C70ナノウイスカーと電極との接触性の乏しさによるものと考えられる。今後はトップコンタクト型FETの作製による高移動度の観測を目指す予定である。 C60に関しては、良溶媒としてピリジンを用いたナノウイスカーの作製および力学特性を調べた。ピリジンを用いて育成されたナノウイスカーの力学特性は、これまでのトルエン、メタキシレン、メスチレンを用いて育成されたウイスカーとは異なるユニークな特性を示した。具体的には、300℃でのアニーリング後の結晶が、極めて高い複合弾性率および硬さを示すことが分かった。また、アニーリング後の構造は、フラーレンC60分子が壊れているものの、結晶系が保持されていることもわかった。今後は、構造の詳細の理解と力学特性との相関を明らかにして、新たな高強度材料の創成に向けた方法論の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しており、これまでに様々なフラーレンナノウイスカーの成長制御と力学特性が調べられている。本年度は、成長制御によって得られた比較的太いC70ナノウイスカーを用いて、力学特性だけでなく、電界効果トランジスター特性の測定といった付加的な実験も行うことができ、予想外の成果が得られた。また、新たな良溶媒としてピリジンを用いることによって、極めて高い弾性率と硬さを持つナノウイスカーの作製にも成功した。今後はそのメカニズムの解明による高強度ナノウイスカーの提案に繋がればと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、様々な良溶媒を用いることによって、偶然にも高い弾性率や硬さを示すフラーレンナノウイスカーの作製に成功した。今後は、このユニークな力学特性と構造との相関を明らかにすることを目指す。また、さらに他の溶媒や熱処理などの方法を駆使して、さらなるユニークな力学特性を示すナノウイスカーの探索も目指す。
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Causes of Carryover |
装置(備品)購入とその付属品の購入を予定していたが、実験の進捗に合わせて別の付属品が必要になったため次年度に使用するとにした。また、当初予定していた国際会議と共同利用研究での出張がコロナ禍でキャンセルとなったため次年度以降に使用することとした。
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