2022 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of Lead-Free Large Piezoelectric Single Crystals by Novel Rapid Solid-state Crystal Growth Method and Elucidation of the Growth Mechanism
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21K04661
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
石井 啓介 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (30257208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 貴明 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 助教 (70754795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非鉛圧電材料 / 単結晶 / 固相結晶成長 / 銅添加 / Bサイト過剰組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
(K,Na)NbO3(KNN)の高速固相結晶成長において、0.5%~6%のCuO添加が結晶成長に及ぼす影響を明らかにした。XPS、XPD測定の結果、成長した大型単結晶に隣接する多結晶領域にはCuOおよびCu2Oが偏析していることが判明した。CuO添加量1.5%以下では、CuO添加量と単結晶の成長性とは正の相関を示し、それ以上では、負の相関が観察された。軌道放射光を用いた高精度XRD測定に行ったところ、CuO添加量1.5%以上の仮焼粉中からは CuO相の著しい析出が検出された。この結果より、結晶成長の過程でKNNから排出されたCuが結晶成長界面で第二相による液相を形成すること、この液相は適量であれば原子拡散を促進するが、多すぎると拡散に要する距離が増大し原子の移動を抑制することが示され、添加されたCuOが高速結晶成長法に及ぼす影響と仕組みが見出された。 上記に加え、重要な作製パラメータであるBサイト過剰率を従来よりも広い範囲で可変させた結果、0.75 %~1.75 %のBサイト過剰率において単板状単結晶が得られた。特に1.00 %~1.25 %が単板状単結晶の作製に適していることが判明し、昨年度までよりもプロセスウィンドウを大幅に拡大することに成功した。ESR分析から、Bサイト過剰率とBi2O3添加量が仮焼粉中の酸素空孔濃度を変化させることも明らかとなった。酸素空孔濃度は結晶成長を促進させることが知られているため、高速固相結晶成長では酸素空孔濃度の増減を介しBサイト過剰率とBi2O3添加量が結晶成長の活性度を制御している機構が解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の一つであった、高速固相結晶成長法において、アルカリ不足(Bサイト過剰)組成が結晶成長を促進させるメカニズムの解明がほぼ完遂され、加えて(K,Na)NbO3系単結晶が安定に成長する母材仮焼粉の最適組成の確定も終了した。これらの成果は学術論文として公表されている。次の目標である結晶成長方位の制御手法を確立するため、小型板状NaNbO3単結晶を核とした結晶成長手法の開発にも着手しており、来年度以降の新たな成果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究は進捗しており、研究調書に記載された従来の計画通りこのまま研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度からの繰越金が大きかったこと、および、昨年に引き続き、コノナの影響で実験頻度が予定よりも少なかったため、消耗品の消費額が予定を下回ったことが原因である。
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Research Products
(5 results)