2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism analysis of promotion of catalytic reaction in ionic liquid-modified electrodes by surface-enhanced infrared spectroscopy
Project/Area Number |
21K04664
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 智彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40397493)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イオン液体 / 修飾電極 / 表面増強赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の2023年度は、申請時に掲げた3つの研究項目、①様々な構造を有するイオン液体の設計と合成、②合成されたイオン液体を修飾した電極の作製とその諸性質の特定、③得られたイオン液体修飾電極のへのプローブ分子の固定化とSEIRAS測定による検討、のうち、③に関する研究を中心に遂行した。 正電荷を有するヘキサアンミンルテニウム錯体をプローブ錯体として内包したイオン液体修飾電極に関して、その電位依存SEIRAS測定による電極表面での修飾イオン液体分子とプローブ錯体の挙動を追跡した。その結果、修飾されたイオン液体のカチオン性のホスホニウム部位が負電位側への電位掃引によって電極側に引きつけられることで、内包されている正電荷を有するプローブ錯体が電極に修飾されたイオン液体部位との静電反発によりAu電極近傍へ移動し、プローブ錯体の配位子NH3がAu電極と強く相互作用することで生じたピークがSEIRASで観測された。このピークはイオン液体を修飾していない通常のAu電極を用いてプローブ錯体のSEIRAS測定を行った際には観測されないことから、上述の正電荷を有するプローブ錯体と修飾されたイオン液体の正電荷との反発的な静電相互作用による効果が示唆された。 研究期間全体を通して、電荷の異なる金属錯体をプローブ錯体として内包したイオン液体修飾電極において、電位依存SEIRAS測定を利用することで、電極界面でのイオン液体および金属錯体の詳細な挙動を追跡することに成功した。修飾されたイオン液体部位の電位掃引による電極表面での配向変化が内包された金属錯体の挙動に影響を及ぼすこと、特にイオン液体の正電荷と各錯体の正電荷あるいは負電荷が静電的な相互作用により異なる挙動を示すことなどが明らかとなった。これらの知見はイオン液体修飾電極による電極触媒材料を開発するための設計指針になると考えられる。
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