2022 Fiscal Year Research-status Report
塑性変形能を有する従来にない硬質材料の創製とそのメカニズムの解明
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21K04671
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中山 博行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00510075)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルテンサイト / サーメット / FeNi合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はTiCを硬質粒子に用いたTiC-25wt%(Fe(100-x), Nix)サーメットを作製し、その強度と延性を評価した。その結果、結合相であるFeNi合金がfcc構造からbcc構造へ応力誘起相変態を生じることで、強度、延性が共に向上することを明らかにした。そこで、今年度はサーメットとしてより高強度が期待できるTi(C, N)粒子を用いて、その機械的特性を評価した。 具体的にはTi(C100-x), Nx)-25wt%(Fe(100-y), Niy)), x = 0~20, y = 50, 60となるように市販のTiC, TiN, FeおよびNi粉末をエタノール中で湿式混合した。これらを大気中で乾燥後、プレス成形し、真空焼結する事で試料を作製した。これら試料の破壊までの応力-歪曲線を4点曲げ試験により取得した。その際の歪みは、試料下面に添付した歪みゲージにより測定した。 作製した試料の破壊強度と破壊歪みは、硬質粒子の窒素量が増えることで、共に低下することがわかった。特に延性低下は窒素無添加の場合に比べて著しく、半分程度にまで低下した。またy = 50とした方が60としたサーメットに比べて、強度、延性ともに優れることがわかった。これら試料のXRD結果およびSEM観察より、作製した試料はいずれもTi(C, N)相とFeNi合金相から形成されており、脆化相などは確認できず、TiC粒子を用いた場合と比べても両者に顕著な違いは見られなかった。これらを受けて今後は、変形中のFeNiの相変態挙動や、Ti(C, N)とFeNi合金界面強度などを調査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のTiC-Ni系やTi(C, N)-Ni系サーメットに比べ強度、延性が共に優れる硬質材料を作製できている。その要因としてFeNi結合相のマルテンサイト変態が関与することを明らかにしており、新規材料の作製およびメカニズムの解明ともに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより高強度が期待できるWC粒子を使用した硬質材料に焦点を当て、これまでに得られた知見をもとに、強度、延性の相反する特性をさらに向上させることを目指す。加えて、変形中におけるFeNi合金の詳細な相変態挙動の解明や硬質粒子(WC, TiCおよびTi(C, N))とFeNi合金界面の構造や強度などを調査し、強度・延性に優れた硬質材料のメカニズム検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍や昨今の国際状況を受けて参加を予定していた学会がオンラインに変更される、納期の目処がつかず、購入を見送った物品が生ずるなどした。そのため、予定よりも少ない消費金額となった。
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Research Products
(2 results)