2023 Fiscal Year Research-status Report
Simplified device structures without charge transport layers for low-cost perovskite solar cells
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21K04684
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
迫村 勝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 講師 (20235237)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 光エネルギー変換 / 自己組織化膜 / 表面電位 / 走査プローブ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で、3-(Aminopropyltrimethoxysilane(APTS)による自己組織化膜(SAM)の表面上に良好な結晶状態から成るペロブスカイト層を形成することに成功し、APTS修飾によるITO仕事関数の増大効果についても確認した。令和5年度の研究では引き続き、ITO透明アノード電極上へのSAM及びペロブスカイト層の形成条件の最適化を行うとともに、SAM膜上に形成したペロブスカイト層の表面フェルミ準位の評価を行った。 当初の研究計画で狙いとしていたSAM末端基(-NH3+)とペロブスカイト結晶との相互作用によるペロブスカイト層のアンカー形成については、これを観測により示すことは困難であった。しかしながら、SAM膜に積層したペロブスカイト層の表面フェルミ準位を観測することで、SAM末端基が及ぼすペロブスカイト層の性状変化と安定化への寄与について議論することは可能であると考え、本年度の研究ではまず、従来の方法でITO電極上に構築したペロブスカイト層のケルビンプローブ顕微鏡(KFM)による表面電位観測を行い、表面フェルミ準位について評価を行った。ペロブスカイト層の表面電位は層厚とともに変化するので、表面電位がほぼ一定値に収束する250 nm付近の層厚から表面フェルミ準位値を約5.05 eVと見積もった。引き続き、APTSによるSAM上に250 nmの膜厚で形成したペロブスカイト層について測定を行った結果、ほぼ同程度の表面フェルミ準位値が得られる結果となった。このことから250 nmのペロブスカイト層内のバルク及び表面近傍の結晶状態については、SAM膜を挿入した場合でもほとんど差が無いことが示唆された。今後は積層構造のエイジングによる劣化なども表面フェルミ準位変化の比較による検討を行い、ペロブスカイト層の安定化への効果についても議論していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
APTSによるSAM上にペロブスカイト層を形成する際に、SAM末端基から積層界面へ及ぼす強い相互作用が働いていることが、いくつかの実験で示唆されてきたが、SAMを介したペロブスカイト層のアンカー形成と、それによる積層構造の安定化が実現しているかどうかを評価する手段については、これまで良いアイデアがなかった。最終的にはデバイス性能を調べることで得られる情報からこのことを議論する予定としていたが、今年度はこの議論を補強するために新たにペロブスカイト層の表面フェルミ準位の検討について着手した。表面フェルミ準位はペロブスカイト層の結晶状態に影響を受け、デバイス性能にも関係することからペロブスカイト層の性状変化と安定性の変化をモニターするために有用であると考えられる。このように新たな検討事項も加わり、デバイス化の推進も当初の計画よりも遅れていたため、本研究課題の進捗の遅れとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のこれまでの研究で、ペロブスカイト層と強い相互作用を示す末端基を有するSAMをITOとの積層界面に挿入することに成功してきた。しかしながら当初の狙いとしていたSAMを介したペロブスカイト層のアンカー形成及びそれによる積層構造の安定化については今後、検討していかなくてはならない。そのための新たな検討事項として、今年度の研究では、APTSによるSAM挿入時のペロブスカイト層の表面フェルミ準位について調査を行った。今回は有意な変化は観測できなかったが、引き続き、ペロブスカイト層の厚さに対する依存性についても調べることで、SAM挿入による影響について検討していく。さらには積層した膜のエイジングによる影響をモニターする手段としても表面電位測定を活用し、SAM挿入による膜構造の安定性の向上について議論していく。最終段階としてペロブスカイト太陽電池のデバイス化を行い、その光エネルギー変換性能について比較し。SAM挿入の有効性について議論していく。
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Causes of Carryover |
本研究課題において、当初計画の遅延が生じたので補助事業期間延長承認申請を行い、承認された。遅延が生じた事由は、①研究遂行に想定以上の時間を要したもの、②自然災害によるもの、の2つであった。①については、ペロブスカイト層の表面フェルミ準位測定によるSAM挿入効果の検討が新たな検討事項として加わったことで、当初の計画よりもより多くの時間が必要となったことによる。②についてはCOVID19の影響によるもので、計画全体の遅延の事由となった。そのため、本来の計画年数を1年延長し、300,844円を次年度の使用額とした。 次年度使用額の使用計画については、実験を遂行するための試薬や消耗品類を購入するために150,000円程度を物品費として、研究成果投稿料及び校閲料として150,000円程度をその他の費目として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)