2022 Fiscal Year Research-status Report
溶質原子の粒界偏析予測に基づく材料組織設計指針の提示
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21K04687
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚田 祐貴 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00620733)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粒界偏析 / 多成分系合金 / ニッケル基合金 / オーステナイト系ステンレス鋼 / ソリュートドラッグ / フェーズフィールド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に開発した粒界組成予測プログラムを用いて、オーステナイト系ステンレス鋼(type 316L steel)における粒界偏析元素(Mo、P、B、C)の粒界組成の結晶粒径依存性を解析した。粒界の体積率は結晶粒径の減少とともに増加する。結晶粒径300μmの条件での粒界組成は、粒界の体積率をゼロと仮定した場合の粒界組成とほぼ等しくなった。結晶粒径3~6μmの条件ではMo、B、Pの粒界組成がわずかに減少し、結晶粒径1μmの条件ではB、Pの粒界組成が大きく減少した。これらの結果は、結晶粒径10μm以下の条件では、粒界組成計算において粒界体積率を考慮する必要があることを示唆している。 36種類のニッケル基合金について、昨年度に開発したプログラムを用いて粒界組成を計算し、さらに、公開されているデータベース、専門書、学術雑誌論文からクリープ破断強度データを収集した。これらのデータセットを用いて、粒内組成、粒界組成、強化相の体積率、クリープ破断強度の相関を解析した結果、粒界強化元素として知られるBの粒界組成とクリープ破断強度に正の相関があることが確認された。 今年度より、移動粒界の組成予測プログラムの開発に着手した。粒界に溶質原子が偏析すると、粒界移動の際にそれらの原子を引きずるため、粒界移動速度が小さくなる(ソリュートドラッグ効果)。フェーズフィールド法により、一定速度で移動する粒界近傍における溶質元素の定常濃度プロファイルを解析した。粒内相と粒界相のギブスエネルギー計算には、計算状態図の熱力学データベースを用いた。ランダム粒界の組成を解析対象とし、粒界相のギブスエネルギーには液相のギブスエネルギーを用いた。開発したプログラムを用いてマグネシウム合金の粒界組成を計算し、溶質元素の濃度プロファイルやドラッグ力の粒界移動速度依存性を解析できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、多成分系合金における静止粒界の平衡組成予測プログラムの開発のみを予定していたが、今年度より、多成分系合金の移動粒界の組成予測プログラムの開発にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
粒界組成を説明変数に含めたニッケル基合金のクリープ破断強度予測モデルを構築する。そのために、今年度に整備した36種類のニッケル基合金のデータセット(粒界組成、粒内組成、強化相の体積率、クリープ破断強度)を用いて、材料組織(粒界組成、強化相体積率など)を説明変数、クリープ強度を目的変数とする線形回帰モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
研究発表のための海外旅費を計上していたが、今年度に参加した国際学会がオンライン開催となった。次年度、研究発表費用(雑誌論文の掲載料)に充てる予定である。
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